業界各社 2021年度 第3四半期決算発表状況(3):富士フイルムからの続きです
業界各社決算発表で、インクジェットになんらか関係している企業を継続してウォッチしています。前回上期決算時はコニカミノルタ、富士フイルムとリコーの3社について同じページでコメントしましたが、今回 2021年度(2022年 3月期決算)第3四半期は、年間決算を前に重要な時期で、コメントも長くなりそうなので各社毎にページを分けます。
今回はリコー。グラフはクリックすると拡大します。数字の単位は百万円です。決算短信・決算説明会など公開情報に基づき、出来るだけ客観的に書こうと思います。
リコー
売上高も営業利益も、ここまでのところ、回復に力強さは感じられないものの、四半期での赤字を避け、なんとか安定した結果を残せているように見えます。
✙✙ 上期のコメントはこちらをクリック下さい
四半期ごとの売上高(左)・営業利益(右)推移です(単位は百万円)。Q1の売上高は コロナ前の 2019年のレベルには届かずとも回復を見せていましたが、今回の Q2はコロナ禍の昨年レベルにまで下がっています。これは冒頭のコニカミノルタと同じ傾向です。異なるのは営業利益で、Q1、Q2とも黒字を維持してなんとか踏ん張っているように見えます。リコーもコニカミノルタもトナー機を中心とした事業のウェイトが同業他社と比べて多いため、結果として概ね同じような傾向を見せるものと思われます。
↓↓ リコーはここまで、年度初め(昨年度の決算発表時)に公表して今年度の見通しについて、売上高も営業利益も一度も変更していません。当初の想定通り推移しているのか、変更することを潔しとしない社風なのかはわかりませんが、今回の第3四半期時点でも、売上高も営業利益も据え置いています。
↓↓ ということで、「年間見通し-第3四半期累計実績=第4四半期の必要額」を求めてみると、下記のようなグラフになります。少なくともグラフからは、第4四半期には、コロナ前にも実現できていなかった四半期売上高が必要で、営業利益も、まだコロナ禍など想像もできなかった 2019年度の前半並みの数値が求められることになります。計算上は売上高が達成できれば、この営業利益もついてくるのでしょうが・・・こちらも「業績見通しの修正」の適時開示という事態に至らないことを期待したいと思います。
✙✙ 上期のコメントはこちらをクリック下さい
過去の決算実績と今年度の見通しについても、コニカミノルタと似た傾向を示しています。2019年度の
売上高を、コロナ年の 2020年度は落しましましたが、2021年度は 2019年度までは届かずとも、
2020年度レベルはクリアするとコミットして、これまでのところ、その見通しを変えていません。営業利益は、コニカミノルタは 2019年の数字を大きく超える目標を提示して、ここで大幅に下方修正しましたが、リコーはモデレートな目標を掲げて、これまでのところ、その見通しを変えていません。
次回、第三四半期の決算発表は 2022年 2月初ですが、その時点ではもう 2021年度の数字はかなり正確に見通すことが可能なはずで、そこでどういう着地見通しを出すのかが注目されます。
インクジェットに関する記述は「産業印刷については、インクジェットが売上前年⽐138%と、順調に伸びています。また、テキスタイルプリンタについても新製品が寄与し、Tシャツプリントを中⼼に伸びています。」「コンポーネント (IJヘッド)好調持続 (売上前年⽐138%):・顧客であるプリンターメーカーの販売回復 ・性能・価格・サポートの競合優位から、顧客の新規プリンターモデルへの採⽤進む」「産業プリンタ (テキスタイルプリンタ):Tシャツプリント中⼼に、Eコマース販売増加、印刷事業者の参⼊により好調(売上前年⽐130%)→ラインナップ強化により更なる拡⼤」などとあります。
この項、続きます。
業界各社 2021年度 第3四半期決算発表状況(5):大判プリンター3社に続きます