キヤノン:四半期初の最終赤字88億円 33年ぶり減配

今週は大方の上場企業各社にとって”Gloomy”な週なのではないでしょうか?今年の3月までの年度決算では、コロナの影響を受けたのは実質二か月くらいで、年間見通しはさておき、年次決算自体へのヒットはそう大きくは無かったはず。が、今回の4~6月の第一四半期は、緊急事態宣言・外出自粛・臨時休業・テレワークで会社のコピーは使われず、プリント・印刷需要へのネガティブな影響が全面的にヒットした四半期・・・その報告をすることになるわけですから。普通に考えれば「赤字にならない方が不思議」な局面ですが、そんな中キヤノンが先陣を切る形で下記の発表を公表しました。

「キヤノンが28日に発表した2020年4~6月期の連結決算は最終損益が88億円の赤字(前年同期は345億円の黒字)となった。新型コロナウイルスの流行で事務機などの需要が急減した。四半期の最終赤字は開示を始めた00年以降で初めて。業績悪化を受け、6月末の配当を33年ぶりに減らす。全文はこちら。(日経電子版)

金曜日の午後、株式市場が閉まってから発表する企業もある中で、先陣を切っての公表はむしろ立派。今日以降、これに続く広義の同業各社も営業赤字は必至なので驚く内容ではなく、今更騒ぐような話ではないと思っています。

それよりも課題は上の日経の「関連記事」にあるように「事務機市場に暗雲 在宅でペーパーレス化加速」「新型コロナウイルスの感染の影響が事務機器市場の縮小に拍車をかけそうだ。企業の在宅勤務が普及し、ペーパーレス化が加速するとの見方から、調査会社などは事務機器の世界市場の見通しを引き下げた。業界再編の引き金になる可能性も指摘され始めている。」(全文はこちら:但し有料購読者向け記事です)・・・こちらの方でしょう。

これなども「コロナが加速」したかもしれませんが、そもそもこの数年~十年来「オフィスプリントはピークを越え、商業印刷市場は衰退に・・・」というのは言われ続けてきたわけで(例えば3年前の記事)、各社ともそれに対して備える時間は十分にあった筈です。(・・・と書きながら、現在テレビで日本各地の水害のニュースを観ています。何年も前から備える時間はあった筈・・・)

加えて、それぞれの企業にはそれぞれ特殊な事情があり、あれこれやと記事にされています。

しかし一方で、今回のJIVM2020のウェビナーを通じて感じたのは「コロナは災いだが、これまで自分たちが『こうなるだろう、こうなるべき』と主張してきながら遅々として進まなかった流れを加速する千載一遇のチャンスでもある」とポジティブに受けとめる声が多かったことです。コロナに関係なく「本気で備えてきた企業」にとっては、ここがギアをシフトアップするタイミングと映ることでしょう。

この数年~十年来「オフィスプリントはピークを越え、商業印刷市場は衰退に・・・」と言われてきたことに対し、経営者が本気で備えてきたのか、単なる口先だけだったのかをチェックする極めて簡単なテストがあります。今回の四半期決算で大きく傷んだ業績を前に、全般に「経費節減モード」に入ることは必定ですが、そのなかでも:

1)傷む部分には大胆にメスを入れて経費節減やリストラを行い、逆に備えてきた案件については「ここがシフトアップの絶好機」と資金をリソースを投入する・・・のか
2)「ワンチーム」とかなんとかで、構造改革すべき事業や部門も、「備えてきた」はずの分野で、伸ばすべき事業にも一様に経費節減を強いて、シフトを加速どころか減速させてしまうのか・・・

どちらを選択するかで簡単に明らかになります。この局面にあっては社員のではなく経営者の資質こそが問われている・・・そういうことでしょう。口先だけで「シフト」を言ってきた経営者には「退場していただく絶好の機会」でしょう。それは多分貴方だけではない筈ですから・・・目立たなくてすむかもですよ(笑)

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