- 2019-3-10
- イベント参加報告
今年の上海 APPPEXPO会場で出会った皆さんが一様に口にしていたのは「違和感」でした。「閑散とは言わないけど、出ていない大手メーカーがある」、「ALLWINはなんで出ていないの?」等々・・・そうです、今年は比較的近所で、APPPEXPOにぶつける形で、同じようなサイン業界向けプリンタ DPESという展示会が開催されていたのです。
そもそも APPPEXPOとは上海国際広告・印刷・包装・製紙産業総合展(AD・PRINT・PACKAGING・PAPER)の意味で、インクジェット機や関連資材のみならず、広告産業では LEDサインなどもあり、印刷・包装・製紙産業からも出展がある大展示会です。かつては浦東で7月に開催されていましたが、2015年に虹橋の国家会展中心のオープニングに合わせて3月に前倒しとなったものです。
それに対し DPESは何の略号かはサイトにも英語のオリジナル名が無いのでわかりませんが、サイン業界に絞った展示会で、大半はインクジェット機と関連資材と LEDサインなどが主体です。
これは2015年3月、国家会展中心で初めて開催された APPPEXPOの会場案内図ですが、四葉のクローバーを更に半分に割ったホールに1から8まで番号が付いており、当時インクジェットは5号館(5.1は5号館の1階を示す)のみだったことが分かります。
そこから4年経った今年、2019年はインクジェット関連は3・4号館(海外メーカーや海外展開している中国メーカー)7号館(主として中国ローカルメーカー)、8号館(デジタルテキスタイル関連)とスペースは4倍になり、かつこれに加えて花橋で DPESが開催されているということで、巨大な産業になったことは間違いありません。APPPEXPOは上海の他に瀋陽・成都・済南・北京で開催され、またタイとミャンマーにも展開しています。
今回の現象を一言で申せば、異なる主催団体が競合しているということです。昨年まで APPPEXPOに出展し、今回は DPESのみに出展した ALLWINの陳社長によれば「虹橋は海外顧客を呼ぶには便利だが、中国国内顧客にはこちらで十分」、またスタッフから聞いたホンネでは「APPPEXPOの主催者は年々傲慢になり、要望を聞いてくれなくなった」「特にウチ(ALLWIN)に対する扱いは良くなかった」「出展料が高い。花橋は虹橋の10分の1」とのこと。
恐らく、毎年巨大なスペースを占める ALLWINや WITCOLORなどは増加する他の出展者に割譲するためスペースの縮小を迫られたり、出展料を値上げされたりしたのではないかと推察され、複数が示し合わせて脱藩したということだろうと思います。何年か前に広州の DPESがスペース代が高いので、東莞に別の展示会を仕立てて有力数社が抜けてそちらに行って圧力をかけたことがありました。FESPAに不満を持った DURSTが出展を止めプライベートショーに切り替えたのも似たような発想かもしれません。
FLORAや JHFなどは両方に出展していましたが、DPESのブースは明らかに気合いが入っていない様子。GONGZHENG(工正)は APPPEXPOには少しユニークなアイデアの製品、DPESには従来路線の大判機を集中と使い分け。また海外企業は APPPEXPOのみに出展というところです。
また会期が微妙にずれており、DPESが3月3~7日、APPPEXPOが5~8日ということで、バッティングしない3・4日は DPESはそこそこ盛況、APPPEXPOが始まった5日以降は DPESは閑散として、店番のスタッフは殆どスマホを弄っているという奇妙な雰囲気でした。APPPEXPOの方も、巨大スペースを占めていた ALLWIN、WITCOLORなどがいなくなり少し違和感が残りました。
来年以降はどういうことになるのでしょうか?DPESもどうせ対抗するなら、浦東の上海国際博覧中心でやればいいのに・・・まあ、そちらは場所代が高いか?いつもはこの時点で APPPEXPOの来年の日程が発表されている筈なのですが、今回は2020年3月とだけしかアナウンスされていません。日程を巡ってこれから水面下で駆け引きがなされるものと思われます。
上海:APPPEXPO+DPES 参加報告(2)に続きます。