drupa 写真速報(11):Hall 10 京セラ:プリンティングデバイス事業本部

【京セラ:プリンティングデバイス事業本部】

これは京セラドキュメントソリューションズではなく京セラ本体のプリンティングデバイス事業本部の出展。

かつて南フランスはニースの近くに存在したインテグレーター「IMPIKA」。社長の Paul Morgavi氏の独特の嗅覚でなかなか面白いマシンをインテグレートしていた。確か京セラとパナソニックのヘッドを中心に使っていたと記憶している。

コダックに対して連帳機 VL2000を OEM供給して、恐らくそれが XEROXの目に留まり IMPIKAは XEROXに買収され Paulは XEROXのインクジェット事業部長に就任。

その後は紆余曲折あり、XEROXは IMPIKAを手放し、Paulはそこの社長として NIXKAという社名で再度事業を立ち上げた。それを京セラのプリンティングデバイス事業本部が買収したという経緯。

Bellharra(ベルハラ:池田理代子のベルバラではない(笑))と名付けられたこのマシンを見てちょっとデジャヴに陥りました。これは「print」とはいえ印刷とは一線を画した「写真プリンター」なんです。

かつてコニカの時代に写真プリンターを手掛けていたこともあり、写真の事業部が最後の勝負を賭けた「銀塩デジタルミニラボ」を開発していたのを横目に、インクジェットミニラボを開発して米国 PMA(Photo Marketers’ Association)にも出展したこともあり、その後ミノルタと一緒になって社内から写真の痕跡をすっかり消してしまった会社にいた身としては「え?今更写真かよ?」と、ちょっと虚を突かれた気分です。

まあ、話を聞いてみると「紙焼き写真がいつまで残るんだい?という点について、写真の現像需要は底打ち感があり、大きな成長は見込めないものの根強く残っていく感じ。特に最近は若い人が紙焼きに回帰していて、肝心な写真は現像して飾っているようです。そういう根強い人気に、環境負荷が少なく(対銀塩)生産性に優れるインクジェットでお応えします!」

まあ、京セラのヘッドをワンパスで使うと凄い生産性になるのは理の当然で、かつてスーパーやショッピングモールの写真屋さんに有ったミニラボではなく。集配ラボと呼ばれる「あちこちからフィルムを集めてきて集中して処理する」タイプのラボ向けとのことです。

ふうん、そうなのかあ・・・インクジェットミニラボに絡んでいた経験からの心配事は「入力は銀塩フィルムを想定しているのか?デジカメや iPhoneカメラからのデジタルデータを想定しているのか?両方か?」「ロール紙の様だけど、紙サイズへの対応は?まさか紙焼きで残したい人がサービス版(L版)に残したいとは思っていないハズ)何種類かのサイズをそろえる必要があると思うけど、ロール紙でその切り替えは?」「ミニラボは『45分間の買い物している間に紙焼きまでやってあげましょう』というコンセプトだったけど、このマシンで想定している顧客は集配ラボの集配頻度から考えると1日は待たされる・・・待ってくれますかね?」・・・こういうところって案外面倒で大事なんですよ・・・画質に関しては心配していません。あくまで写真という商品にまつわる細かいところの想像がどこまで出来ているのかの心配です。

ただ、NIXKAとしては、これは一つの提案であって本命は中に入っているプリントエンジンを売ることのように見えます。これはケンブリッジのインテグレータ IIJ(Industrial Inkjet)や富士フイルムの SambaI\JICなどがやっていることですが、ヘッドを単体で売るのではなく、ある程度纏まったユニットにしておき、様々な搬送系の上に載せて微調整するだけでプリンターが完成するというもの。これにより開発の手間が大幅に省けることになります。

実際、下のサムネイル画像(クリックして拡大下さい)にある大きなユニットは某スペインの印刷機メーカーに納入済とのこと。こういうやり方は主流のなっていくのでしょうね。

Paul Morgavi氏、健在!

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