誰も知らないドイツの町 Unbekannte deutsche Städte(119)★★★ プリッツヴァルク Pritzwalk -1-

ブランデンブルク州のプリッツヴァルク Pritzwalkをご紹介します。訪問したのは 2025年 5月 3日、kyritzに泊まっていた時にバスで訪問してみました。

人口 12,000人足らずの小さな町です。場所は前回 Kyritzで使った地図を流用しますが Kyritzから約 30km北北西にあります。周辺にはそこから東に 20km程のところに Wittstockがあります(次章で採り上げます)。日本人が好き好んで訪問するほどの観光スポットもなく非知名度的には★★★でいいと思いますが Wikipediaの「歴史」の項目は非常に充実しています。

Wappen Lage Data

独語 Wikipedia
Pritzwalk の公式サイト
Pritzwalk の観光サイト
Liste der Baudenkmale in Pritzwalk

町の名前に「-walk」と付くものは他に Pasewalkがあります。この「-walk」にはなにか意味があるのでしょうか?調べてみました。

Pasewalk,Pritzwalkの-walkにはなにか意味がありますか?

ドイツの地名である Pasewalk(パーゼヴァルク)や Pritzwalk(プリッツヴァルク)の末尾にある -walk は、英語の「歩く(walk)」とは一切関係がなく、スラヴ語(西スラヴ語群)で「狼(オオカミ)」を意味する言葉に由来しています。

-walk の意味と由来かつてこの地域(ドイツ東部・北部)には、ゲルマン民族のほかにポラーブ人などのスラヴ系民族が暮らしていました。そのため、多くの地名にスラヴ語の痕跡が残っています。スラヴ祖語の *vڵkъ(ヴォルク=狼)、あるいはポラーブ語の vauk などが、ドイツ語化される過程で -walk という表記に変化しました。現在のロシア語の волк (volk) やポーランド語の wilk も同系統の言葉です。

各地名の具体的な成り立ち

1. Pritzwalk (プリッツヴァルク)由来: スラヴ語の Przez-walk(または Priz-walk)から来ているとされ、一説には「狼よ、立ち去れ」という叫び声や命令、あるいは「狼のいる(横切る)場所」に由来します。紋章: この歴史的な由来から、プリッツヴォルクの市公式ウェブサイトや歴史資料にもある通り、街の紋章(コート・オブ・アームズ)には「菩提樹の木の下にいる狼」が描かれています。

2. Pasewalk (パーゼヴァルク)由来: スラヴ語の Pozdevolk が語源とされています。これは人名(Pozde)と狼(volk)が組み合わさったもので、「ポズデ(という人物)の狼」を意味していたと考えられています。

-walkとつく地名には Pasewalk,Pritzwalkのほかにありますか?

ドイツ国内で、現在も公式な都市名・自治体名として末尾に -walk(スラヴ語の「狼」由来)が残っている場所は、実は Pasewalk と Pritzwalk の 2つだけ です。そのため、非常に珍しい地名タイプといえます。しかし、「公式な都市名」以外や、歴史的な表記・派生語まで広げると、いくつか関連する例を見つけることができます。

1. 歴史的な古い地名・国境の町: Walk(ヴァルク)

現在のエストニアとラトビアの国境に位置する街の、かつてのドイツ語名が Walk(ヴァルク) でした。現在は国境線によって2つの街に分割されており、エストニア側は Valga(ヴァルガ)、ラトビア側は Valka(ヴァルカ) と呼ばれています。この地名もスラヴ語(またはバルト語系)の古い言葉に由来するとされています。

2. 「オオカミ」を意味する同系統の地名(ドイツ国内)

末尾が -walk という表記にはならなかったものの、同じスラヴ語の「狼(volk / vlk)」を語源に持つドイツの地名は、旧東ドイツ地域にいくつか存在します。

Wolkow(ヴォルコウ):メクレンブルク=フォアポンメルン州にある村。「狼のいる場所」という意味。

Wölzow(ヴェルツォウ)ドイツ ヴィッテンブルク経路Wölzow(ヴェルツォウ):同じくドイツ北部の地名。こちらもスラヴ語の狼(vlŭkŭ)に由来します。

3. 表記が似ているが「由来が異なる」ドイツの地名

ドイツには「ウォーク」や「ヴォルク」と読む、一見似ている地名がありますが、これらは「狼」とは関係がありません。Walckenried / Walkenried(ヴァルケンリード):ニーダーザクセン州の町。こちらの Walk- は、古いドイツ語で「(布を)踏んで縮める、洗う」という意味の「Walken(縮充)」、あるいは人名に由来するとされ、スラヴ語圏ではないため狼とは無関係です。

まとめ地名の末尾が完全に -walk で終わるドイツの自治体は、Pasewalk と Pritzwalk のみという非常にレアなケースです。この2つの街は、中世にスラヴ人がオオカミを警戒したり共生したりしていた記憶を、現代にそのまま伝える貴重な歴史の証人と言えます

さてホテルでシンプルな、でもこれが美味しい朝飯を済ませてバスに乗ります。鉄道も(例のレールバスの延長に)駅はあるんですが本数が少ないんです。

★★★プリッツヴァルク Pritzwalk -2- に続きます

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