drupa 2024は「何 drupa」だったのか?

ドルッパにはかねてより毎回それを象徴するようなサブタイトルが付けられてきました。デジタルドルッパ、ワークフロードルッパ、インクジェットドルッパ・・・それでいけば今回は「何ドルッパ」だったのでしょうか?

第一印象として目につき、会場に 5日居て結局一番印象に残ったのは「チャイナ・ドルッパ」ではないかということ。ゼロックスが抜け、アグファやミヤコシも抜け、そこを埋めるのに主催者側としても背に腹は代えられなかったのではないかと推察しますが・・・とにかく中国企業の出展が多かったです。

そもそも 8a・8bなどというのは日系・欧米系のデジタル機の牙城だったはずですが、そこに Hanwayのワンパス段ボール機・Liyuや Floraのワイドフォーマット機・Yilijetの産業用機などが入って来ています。

またインク関連の出展社が多い Hall3や、後加工機などが入っている Hall11などはもう中国企業に実効支配されている感じ!ボーとしていると上海か広州の展示会かと錯覚するくらいです。会場には空きスペースも多く、本来ならもっと出展社を誘致することもできたハズと思うのですが、あまりにも中国企業一色になってもいかがなもんか?と考え、出展社側も少しコントロールしなのではないかと推察しています(あくまで推察です)

日本企業は各社とも洗練された展示で、もうすっかりコミュニティに受け入れられていますが、中国企業はその辺りがまだまだという印象はあります。まあ、好みの問題かも知れませんが「社名に漢字」というのはいかにもダサいという気がします。リコーが「変革」という漢字を前面に打ち出していましたが、あれは全く別次元の話。

あと・・・(こう人種差別と受け取られかねないことは書かない方針なんですが・・・)傍若無人がちょっと度を越しているかも。電車の中やレストランで大声で話す!周囲が違和感を感じているということに全く気がついていないか、気がつく感性がそもそも無い印象。

私がドイツ駐在駆け出しの頃、上司から「大きな声で話すんじゃないよ!ドイツ人にとっては日本語は意味不明の謎の言葉。英語・フランス語・ウルさくてもイタリア語(笑)などが耳に入って来るのとはワケがちがう。静それがデカい声でワーワーと聞こえてきたら眉を顰められる」と教わったものです。今、日本人のポジションというのはこういうことの積み重ねの上にあると思うのです。

中国人に、この私の上司のような人が現れるのはいつのことなのでしょうか?

【パッケージング・ドルッパ】

別の観点からは「パッケージング・ドルッパ」と言えるのではないでしょうか?かなりの出展社が段ボール・紙器・ラベル・軟包装に絡んだ出展やサンプルを見せていました。特に段ボールが多かった印象です。

「情報伝達としての印刷は、その多くの部分がウェブや pdfなどに取って代わられたが、世の中の物量は GDPに比例して増えるのでパッケージの需要は減ることはない」・・・かなり前から言われてきたことではあります。が、今回 2020年を飛ばして 8年ぶりのドルッパではそれが如実に表れたと見えます。

2020年には 4年周期のドルッパと 3年周期のインターパックが「各社はどちらに出展するのか?どちらに重点を置いて予算配分をするのか?」というのが Messe Düssseldof GmbH内の競合問題として取りざたされたこともありました。昨年開催された Interpack 2023に出張視察しましたが、あちらは特にパッケージ印刷には重点を置いているわけではない(中身の充填装置とか、マテハンとかに重点)ということが明らかになり、今回のドルッパには安心してパッケージ印刷を持ち込んだ印象です。

ここでも中国企業というのは「これだ!」というテーマが決まると皆が一斉にそちらになだれ込む(笑)といういつもの動きをしています。逆に日本企業はキヤノンもリコーも富士フイルムもパッケージ印刷に特に重点を置いている様子はありません。そんな中でコニカミノルタは傘下の MGIが出していた Alpha-1は「世界最小のパッケージ工場」というもので、その機械の中で紙器の生産が完結するというユニークなものを出展していました。

【次の drupa 2028のテーマは何か?】

なんでしょうねえ(笑)流石に時期尚早です。そもそも drupa 2028があるのかどうか?という議論も含めて考える問題でしょうね。

今回、「初日の電車が空いていた。あれではスリも商売にならん(笑)」「空き地が目立った」・・・などなどネガティブな声もありました。が、もっと閑散としているのではないか?と思っていた以上には人は入っており、なによりこのイベントを皆が楽しんでいることが感じられました。腐っても鯛・・・いや、あまり適切な例えではありませんが、やはりドルッパです。

さて 2028年はどういうことになるのか?このまま中国企業の勢いが止まらず「広州展示会のドイツ版」になってしまうのか?パッケージ印刷の展示会になってしまうのか?それにいち早く過剰反応して皆がパッケージ印刷・段ボール印刷を持ち込んだ中国勢、一部の例外を除きほぼ全く対応していなかった日本企業・・・想像力を働かせて考えましょう!日本企業もそろそろ思考停止から抜け出したいものです。

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