- 2024-6-2
- イベント参加報告
【キヤノン:Canon】
Hall 8a・8bの所謂「デジタル館」では最大のスペースを占有し大きな存在感を見せつけたのがキヤノン!全貌の写真を撮るのに苦労するくらい。これはオカネもかかってますねえ(笑)
今回の drupa2024での最大のサプライズが、「ハイデルベルクとのコラボ話」でしょう。キヤノンとハイデルベルクとの双方から、drupa開催前日の夕方にそれぞれプレス発表がありました。この話はハイデルベルクと、キヤノンといっても元オセのローカル提携で、日本のキヤノンは直接的には絡んでいません。
プレス発表記事にも「キヤノン株式会社のグループ会社であるキヤノンプロダクションプリンティング(Canon Production Printing Holding B.V.、本社:オランダ・フェンロー、CEO:吉田智、以下「CPP社」)とHeidelberger Druckmaschinen AG(本社:ドイツ・ハイデルベルグ、CEO:Ludwin Monz.、以下「ハイデルベルグ社」)は、商業印刷分野における枚葉インクジェット印刷機の販売に関するグローバルでの業務提携について2024年5月17日に合意しました」・・・とあります。
この提携話がローカル主導(ハイデルベルクとポーイング&ヴェンロー)で行われたであろうことは確実でしょう。逆に日本のキヤノン本体が絡んでいたら纏まるものも纏まっていなかったような気もします・・・知らんけど(笑)
証拠になるわけではありませんが、B3機の iX3200とB2機の iV7はいずれもピエゾヘッドを採用しています。B3機のは京セラヘッド、B2機のは旧オセが長年かけて開発した薄膜ピエゾといわれています。旧オセにはいまだピエゾヘッドに対するこだわりがあるのでは?
ハイデルベル側としては B3オフセット機がほぼ全く売れておらず、何らかのデジタル機の調達が必至だったとされています。富士とのPrimeFire106の時のようなハイデルベルクサイドの開発陣が絡むことは無く、完全なリバッジ OEMとされています。これをハイデルベルクのワークフロー(Prinnect)に繋ぐことで独自性を出すということのようです。
ご承知のようにハイデルベルクは既にリコーとトナー機で提携しており、リコーもここでインクジェットにて B2の Z75を出したので、素直に考えれば「リコーとの提携を拡大する」という手もあったはず。記者会見でもこの点に質問がありましたが「リコーとはプロダクション分野での提携だ。今回は商業印刷分野の提携で、そこではキヤノン機が最適と判断した。リコーとの関係は継続する」とのことでした。
私は以前から「なんで B3みたいな中途半端なものを開発するのか?B2が簡単には出来ないからではないか?」と思っていましたが、B3オフセット機が売れていないハイデルサイドに立ってみると、それを持っていたキヤノンから引くのが理にかなっていたということかもしれません。
B2の iV7については、特に開発中とされる薄膜ピエゾヘッドに関してはあまり情報はありません。外観がiX1700と似ていることから、なんらかのキヤノン本体からの影響もあったものとは想像されます。こちらには「B3オフセット機が売れない」というハイデル側の差し迫った事情があるわけではないので・・・本気で売りますかね?
これは iX1700の実機展示ですが、本来この4月から発売予定だったはずですが来年まで遅れそうとの噂があります。え?でも「TAKE OFF」って書いてありますよ?(笑)
【リコー:RICOH】
リコーは「変革」をテーマとして掲げ、あえて漢字で大きくそれを掲げています。今回の drupaは中国企業の出展が多く、社名などを漢字で出している企業などはなにやらダサく感じるものなのですが、リコーの「変革」はそういうダサさがないところは流石と見えます。
リコーは非常にオープンな社風と見えて、枚葉機も連帳機も扉を開けて中をフルオープンで見せてくれます。まあ「見えるところに秘密なんかない」ということなのでしょうか、あるいは技術に自信があるからなのでしょうか・・・こういうオープンな姿勢は好感が持てます。
写真は同社のインクジェットの開発を長年背負ってきた太田さんによる説明で、連帳機の乾燥部の関する部分です。乾燥ドラムとして大きいのを使いたいところ、同社は、紙の搬送経路は複雑にはなりますが、細いローラーを多数使用しています。こうすることで紙がしっかりローラーに巻き付き、またローラーの温度制御も効率化できて省エネにつながるとのこと。
下の動画はその乾燥機の温度制御で、冷えてくるとホタルのようにヒーターがオンになり少し温めている様子が分かります。
これは Z75の乾燥機部分ですが・・・あれ?ウシオ電機の UVランプ営業担当の星丘さんだ。え?なんでここに?(笑)(太田さん:書いていいかどうかご確認ください)
ヘッドの外販部隊も強化され、ツール類も充実してきたようです。これはドロップウォッチャーの一種で、紙を無駄にすることなく液滴の挙動を観察して様々なデータがとれるようにしたものです。