Formnext:3D プリンター(Additive Manufacturing)の展示会(1)


Formnext(3D プリンターの展示会・於フランクフルト)を視察しました。英語では Additive Manufacturing(AMと略されることが多い)と言いますが、自分にとってのインクジェットとは違い、これまであまり力を入れては追求してこなかった分野だけに「アウェイ感満載」と思っていました(笑) 確かに、産業用インクジェットの展示会やコンファレンスでは常連のメーカーとは違ったコミュニティという印象ですが、しばらく歩くうちに、少し糸口が見えてきました。

今回は、デジタルプリンティングのみならず、この分野にも詳しい英国人ジャーナリストの Nessanがかなりガイドをしてくれたお陰もあって、初めて視察する異分野の展示会にも関わらず、随分見通しが良かった気がします。私も海外の展示会でガイドツアーを企画しますが、ガイドをしてもらう立場になってみて、あれって初心者には随分役に立つんだな!ということを、今更ながら確認した次第です。来年もやります(笑)

まずは展示会の雰囲気をつかんで頂くために、主催者による案内動画を貼っておきます。ちょっと「目」がどぎついですが、ご容赦を(笑)

■ 展示会のデータ

過去3年の推移を見れば、2015年に初回が行われて3年間で面積や出展者は倍に、訪問者やセミナー参加人員は3倍以上に急増しており、まさしく伸び盛りの産業であることを裏付けています。なお、右の画像の下の方に「出展社数や訪問者数は第三者によりその数字が正しいことが検証されています」という註があります。

要は「主催者発表による水増しはしてませんよ!」ということで、こういうことを書いたり、検証機関が存在することそのものがドイツらしいなと思います。逆に言えば「過去にはそういう水増しがあって数字が信用されなくなった反省の上に立っているんだな」ということであり、ドイツにとって「展示会という産業」がいかに大事なものかを伺わせます。

今年 2018年は「床面積 37,231m2、出展社数 632社、来場者 26,919人(内ドイツ以外から 49%)、コンファレンス出席者数 849人(予約)」との速報で昨年からまた大きく伸びたようです。

■ People …そこから垣間見る 3Dプリンティングのルーツ

イスラエル X-JET社の Hanan Gothait CEO

イスラエルの X-JET社のCEO Hanan Gothait 氏は、ソーラーのシリコンパネル上の集電用配線をインクジェットで銀インクを出射して焼結させて形成するというプリンタを開発していましたが、国からの補助金を受けた中国勢の参入で市況が悪化しそのプロジェクトは頓挫しました。

この時に培った「金属インクを出射して焼結させる」技術を転用して「金属 3Dプリンタ」を開発、昨年から Formnextに出展しています。現在は金属とセラミックに注力中とのこと。ちなみに彼の会社 X-jretには、あの Benny Landa氏も出資して役員となっています。更に言えばこの Hanan Gothait氏は、今を時めく Stratasysの前身である Objetの創業者です。

右の写真の中央は日本のランプメーカー USHIO(ウシオ電機)の Wolfgang Kiefer氏。前職は Honleというドイツの UVランプメーカー。彼によると「この世界で事業を立ち上げているのは、かつてのイスラエルの SEITEXの連中が多い」とのこと。なるほどね!ここでもイスラエル!

次に会ったのは Jasen Oliver氏。GEの子会社 GE Additiveの CEOですが、大野との最初の接点は EFIに買収される前の JETRIONのラベルプリンターの市場開拓担当時代。その後 JETRIONは EFIに買収され、最終的には再び FLINTに売り戻されますが、その過程で彼は HEIDELBERGに転職し、デジタルプリンタ部門を統括、その後また転職し DOVER EUROPEの CEOとして、MSを含む DOVERが買収したインクジェット関連企業群を統括しましたが、一年で GE Additiveに転職、ミュンヘンに在住しています。

GE Additiveは欧州の、技術素性の異なる 3Dプリンタを 2社買収、現在インストールベースは 1,400台前後あると豪語。市場は混沌としてはいるが、すごくダイナミックでエキサイティングな状況にあるとのこと。まだまだ使いまわしに技術とスキルが必要で、カスタマーのトレーニングに力を入れているとのこと。

スリーショットに写っている英国人ジャーナリストの Nassanによれば「デジタルプリント技術が 2Dに応用されるか 3Dに応用されるかという違いだけで、本質的には同じこと。2Dで起こったことは必ず 3Dで起こるだろう。次のステップでは必ず 3Dにもワークフローというのがキーワードになるはずだ」との見解。

★かつての SEITEXにいた人たちが 3Dに流れて活躍している
★デジタルプリントが 2Dに応用されるか 3Dに応用されるかということで、そこに本質的な違いはない
ということと理解すると、ここでこういう方(RICOHの古島役員)にお会いするのも自然な流れかもしれませんね(笑)

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