エプソン:プリントヘッド工場を新設

2024年1月16日

エプソンは、MicroTFP(薄膜ピエゾ)インクジェットヘッドの生産能力を増強するため、新工場を建設した。新工場の建設費は35億円(約1,940万ポンド)で、エプソンの既存の秋田工場と併設されている。

エプソンはすでに秋田工場でプリントヘッドを製造しており、新工場の建設により秋田エプソンの現在のプリントヘッド生産能力は多かれ少なかれ 3倍になる。新工場は 2022年 11月に着工し、予定通り 2023年 12月に完成した。秋田工場は 1986年 6月に設立され、2020年には時計生産用の新棟を増設するなど、たびたび拡張を行ってきた。

新工場は、大容量インクタンク式プリンターやビジネス用インクジェットプリンター(主に、プロフェッショナル・グラフィックス向けではなく、オフィスやワークグループ向けのプリンターを指すようだ)用のインクジェットヘッドの製造・組み立てに使用される。エプソンのプレスリリースによると、オフィスや家庭用のインクジェットプリンター市場では、北米やその他の先進国だけでなく、新興国市場でも大容量インクタンクプリンターが伸びており、パンデミック以降、分散型印刷に対する強い需要が見られるという。

興味深いことに、エプソンによれば、現在のインクジェットプリンター製品群のうち、PrecisionCoreプリントヘッドを使用しているのは 20%程度で、残りは旧型の MicroTFPヘッドを使用しているという。

しかし、秋田の施設にはさらなる拡張のための十分なスペースがあり、PrecisionCoreプリントヘッドの組み立てだけでなく、他の OEMベンダーへのプリントヘッドの販売も可能だという。プレスリリースでは、商業印刷や産業印刷の分野、特にテキスタイルへのデジタル印刷の需要が増加していることを指摘している。

この話の鍵は、塩尻市にあるエプソンの広岡事業所の新工場に関する 2018年以前の発表にある。エプソンは 255億円、1億 3740万ポンドをかけたこの工場で、PrecisionCoreプリントチップを生産している。このチップはPrecisionCoreプリントヘッドの基礎となるもので、複数のチップを組み合わせて各ヘッドを製造する。これは、長野県の諏訪南工場に続く、エプソンにとって2番目のプレシジョンコアチップ製造工場である。プリントチップの増産は、秋田の新工場のような工場でプリントヘッドを製造する前段階である。

注目すべきは、エプソンが研究用、OEM販売拡大用、製造用など、インクジェット施設を全体的に着実に増やしていることだ。2020年、エプソンは広岡事業所内に、大型商業・産業用印刷システムの試作・量産やデジタルテキスタイル印刷のテストラボを行うイノベーションセンター B棟を新設した。

2022年、エプソンは商用および産業用インクジェットのイノベーションを推進するため、インクジェットイノベーションラボ富士見を刷新した。エプソンは、新しいカラーインクジェット3次元印刷装置を設置し、エレクトロニクスやバイオテクノロジーなど、インクジェットヘッドを使用した新しいアプリケーションの実験能力を向上させた。

エプソンは以前、商業・産業印刷の販売拡大が「エプソン25」の企業ビジョンの重要な部分であると述べている。

エプソンのインクジェット製品の詳細については、epson.co.ukを参照されたい。

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