テキスタイルの世界はデジタルプリントにシフトするのか(全訳付)

短く言えば、多分「ノー」ですが、実際にはもう少し複雑なので、詳しくは下記をお読みください。

今月、私はフランクフルトのHeimtextilショーを訪れました。このショーは、世界最大のテキスタイルショーとして宣伝され、今年はヨーロッパと並んでインドやアジアから135カ国から、多くの観光客を含んで約7万人の来場者を集めました。このショーはフランクフルトメッセ全体を埋めていますが、この会場がヨーロッパで最大のイベント会場であることを考えると、並大抵のことではありません。

デジタル印刷用のホール(ホール6)が設けられており、KornitやMimakiなどの企業は頑張っていましたが、未使用のスペースがたくさんありました。

また、私が話した人の殆ど、Heimtextilが本来のデジタルプリントのショーではないということを指摘したがっていました。 EFI Reggianiのセールス&マーケティングディレクターであるMichele Riva氏は、多くのデジタル出展者のアプローチを次のようにサマリーしています。「今回のショーへの我々が期待するものは、機械を販売することではありません。私たちは私たちのお客様(=プリント業者)をサポ​​ートするためにここにいます。この種の展示会に参加することが重要であると思います。エンドユーザー(=プリント物バイヤー)のはここにいる我々の顧客(=プリント業者)に会い、その顧客(=プリント物バイヤー)に製品を見せることができます。ただしここはベビーな機器を展示する環境だとは思わないため、機器を展示しないことにしました」

これはDurstがAlphaをローンチし、Konica MinoltaがSP1を公開して以来、言われてきたことです。今年もこれらの企業のいずれも出展さえしませんでした。

Axel Stuhlreiter, Manager pre-sales application for Kornit Digital.

とはいえ、一部のベンダーは、機器を持ち込みました。 KornitはZundカッターと、衣服を仕上げているミシンを持った女性まで持ち込んで、完全な一貫生産を実演しました。 Kornitは様々な種類の布にプリントできるように、前処理液を含む水系のNeoPigmentインクを搭載した比較的大型のロール・ツー・ロール・プリンターである Allegro をデモしました。このマシンは比較的最近追加されたネオンピンクとイエローを装備していました。 Kornitのプリセールス・アプリケーション担当マネージャーであるAxel Stuhlreiterは、主にウェブtoプリントのポータルを通じて販売するマイクロ・ランをターゲットにしていると語っています。彼は次のように指摘しています。「ファッションのサイクルが急速に変わるため、こういう人々は短いサイクルを望む。人々は在庫があることを望んでいない。」

Mutohは、昨年初めに発売した1948WXと1938TXの両方の1.9m幅の昇華転写プリンタを展示しました。Mutohは、マイクロカプセルを含む新しい顔料インクを開発した日本の松井色素と提携しました。マイクロカプセルは、約150°で約3分間熱分解し、インク中の結合剤を置換する仕組みです。同社社長の松井正彦氏は、「インクにバインダーがないため色が明るくインクが柔らかい」と説明しています。これはどの布種にもプリントでき、十分な伸縮性もあります。またEpsonヘッドを使用しているプリンタでも動作するはずとのことです。

Paolo Crespi, Commercial director for Epson For.Tex.

エプソン自身は、幅1.8mのMonna Lisa Evo Treをはじめ、いくつかのテキスタイルプリンタを披露しました。 Espon For.Texのコマーシャルディレクター Paolo Crespiは、このプリンターは顔料インクを搭載しているため、厚保での綿やリネン、綿混紡など幅広い織物にダイレクトプリントでき、ホームテキスタイル市場に焦点を当てていると語ります。

エプソンは独自の顔料インクと、ほとんどの材料に適用できる前処理薬品を製造しています。 Crespi氏は次のように付け加えています。「インクは蒸し行程や洗浄中に反応し、適切な化学薬品を必要としますが、我々はこれに関して顧客をサポートするための十分な経験と知識があります。」

Crespi氏は次のように付け加えています。「耐光堅牢性は非常に重要であり、最高の性能を発揮するためには反応性インクでは不十分で、従って我々は顔料インクを使用しているのです。」

彼は、モナリザは多くの異なる市場分野で使用できると指摘しています。「最初は高品質で、衣服やネクタイやスカーフなどのアクセサリーなどをターゲットとしていました。」

しかし、彼は現在、デジタルプリントはスクリーン印刷を置き換えつつあると指摘しています。「デジタルプリントは、デザインと色数の点で最高のパフォーマンスをもたらします。版を製作したり、またはデザインを色分離する必要はなく、短時間ですべてを管理することができます。」

誰が尋ねるかによって違いはありますが、デジタル印刷は世界的な繊維市場全体の1〜4%を占るとされ、巨大な市場ポテンシャルがあるかのように聞こえます。しかし、他のホールのまわりをさまよって感じることは、繊維市場にとってはそれ以上のものがあることは明らかだということでした。柔らかく、官能的なテクスチャー、複数の層、そして本当の贅沢な感触を備えた、本当に魅力的なファブリックが沢山ありました。興味深いテクスチャやパターン、さらには印刷された要素よりも、形状に依存したパターンを作成するために、さまざまなファブリックが組み合わされたというような例が多数ありました。私の全体的な印象は、これがどれくらいプリントされるのかということについては、かなり厳しい限界があるのではないかということでした。今4%なので、デジタルのポテンシャルは現在の24倍あるということではなく、それよりもずっと小さいということではないかと考えます。

Heimtextilのもうひとつの興味深い「お土産」は、Fespaが家庭用家具や衣料品市場、ソフトサイネージのデジタルテキスタイルプリンタ(ワードフォーマット機)を販売するヨーロッパの主な展示会として多くのベンダーに受け入れられたということです。(■大野註:Heimtextilesではプリンタの展示は限定的だが、Fespaにはプリンタが勢揃いしますよ!という意味)

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Is the textile world ready for digital printing?

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