業界各社:この10年の株価比較(2)

業界各社:この10年の株価比較(1)からの続きです。

「Yahooファイナンス」で、多少なりともインクジェットに絡む企業の、この10年の株価を指標化して比較しています。1年や2年ではなく、10年という長期スパンで見てみると非常に興味深いものが見えてきます。今回はワイドフォーマット機を重要な事業分野としている企業群です。

【まずは日経平均そのものから】

右の「%」の数値を見ると90%と120%の間あたり・・・105%というところでしょうか。実数値でいえば 13,677から 28,188なので 106%アップ。ざっくり申せば「日経平均はこの10年で2倍になった」・・・ということになります。

【ワイドフォーマット機事業のウェイトが高い企業群】

「6724:セイコーエプソン(以下エプソン)」「6638:ミマキエンジニアリング(以下ミマキ)」「6789:ローランドdg(以下ローランド)」「7999:武藤ホールディングス(以下武藤)」ですが、前回の電子写真関連企業群とは異なり、随分バラけてコメントがし辛いですね。大判機が主体と言っても、全体の企業構成や方向はそれぞれ異なりますし、また株主構成も、創業者一族などを含む大株主の存在なども株価形成に一定の影響があるかもしれないことは留意する必要があるかも知れません。

まず10年前との比較で指標が 0%を割って約半分になってしまったのは武藤(黄色の線)です。同業他社は少なくとも10年前の値より上にあるのでちょっと残念な気がします。その上にある緑のラインはローランドで10年前の株価の5割高、ピンクのラインはミマキで10年前と株価と比べると比べると約2倍になっています。

ミマキは海外の業界展示会での存在感が非常に高く、また「ここにも出展していたのか?」と思うくらい広い分野に存在感を示しています。また、ここ何年かは一貫して積層造形分野(3D)に積極的に取り組み、展示会の出展物にもその方向が表れています。そういう影響もあってか、この10年の株価の値動きは結構ダイナミックです。理由は分かりませんが、その上にあるエプソンの値動きと(少しタイムラグはありながらも)似た動きをしているのが特徴的です。どなたか、これを合理的に説明できる方、おられませんか?

さて一番上の紫のラインはエプソンです。10年前の値からは 200% 3倍の株価になっていますが、ステディに上昇してきた富士フイルムと比べると、この10年で 350%になったことが2回もあり、例えば8年前と今を比べると株価は1/4に暴落した・・・なんていう意地悪な見方もできてしまうわけです。ということで、Yahooファイナンスではなく、日系の SmartChartPLUSで最大期間を表示させてみます。

この期間の中で一番長く社長を務められたのは2008年 6月~2022年という在任期間の碓井稔さんです。就任直後に株価が暴落しているように見えますが(赤い↓)、これは例のリーマンショックというやつです。下に日経平均の SmartChartPLUSで最大期間のグラフを掲示しておきますが、同じ時期に暴落し(赤い↓それから数年間は日本株(世界株)全体が低迷しているのが分かります。エプソンや碓井さんの固有の問題ではありません。

しかし、この株価低迷期間に何を仕込んだかが重要で、私の記憶が確かならば、碓井さんはそれまで結構いろいろな方面に多角化していたエプソンの諸事業を整理して重点分野を絞り、ヘッドの完成度を高め(究め極めて)、産業用インクジェット分野に本格的に進出を図ってきた・・・そう考えるとリーマンショック後のボトム(2012年の 220あたり)から今日の 1,900あたりには実に8倍の株価になっているわけで、功績は明らかでしょう。よかったら、2014年と 2017年の「フタコブラクダ」をどなたか説明して頂ければ幸甚です。

ちなみに、昨日採り上げた富士フイルムが富山化学という製薬会社を買収したのもリーマンショックの 2008年(古森社長の時代)でした。こうして長い目で見ると、アナリストの顔色を見ながらの小手先の株価対策は意味が無く、長期的に方向を定めて腰を据えてその実現にブレずに手を打っていくということが・・・今更ながら・・・重要だということが判ります。

ここまで褒め殺した?(笑)富士フイルムに、敢えて疑問を呈するとすれば・・・富士フイルムHDは FB(旧富士ゼロ)にどういう将来があると提示しているのでしょうか?ヘルスケアシフト・・・お見事!では旧FBや印刷はどうするのか?まさか切り出して、あとは自分で考えろはないですよね、100%親会社の HDとしては?

勝手なことを書いているようで、私は野次馬ではありません、一応、富士フイルムの株主であります・・・零細ですけど(笑)

この項、続きます

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