京セラ:フランス NIXKA社を完全子会社化

京セラから 3月 22日付にて「(インクジェットプリントエンジンを手掛ける)フランス NIXKA社の完全子会社化について」というニュースがリリースされました。下記に全文引用します。

インクジェットプリントエンジンを手掛ける

フランス NIXKA社の完全子会社化について

京セラ株式会社(代表取締役社長:谷本 秀夫、本社:京都市)は、このたび、フランスのインクジェットプリントエンジンメーカーNIXKA S.A.S.(ニクスカ社、President : Paul Morgavi、本社:フランス ローヌ県)との間で、京セラによる100%子会社化について契約を締結しましたので、お知らせいたします。

本年4月1日より、社名をKYOCERA NIXKA Inkjet Systems S.A.S.(京セラニクスカインクジェットシステムズ社)と変更して事業を開始する予定です。

■背景・目的

京セラは、2007年に事業化した産業用インクジェット印刷機の基幹部品であるインクジェットプリントヘッド事業において、高速・高精細を実現するプリントヘッドを展開して高い市場シェアを有し、産業用印刷のデジタル化に貢献してまいりました。
一方のNIXKA社は、2020年に設立され、京セラプリンティングデバイス事業本部の主力製品インクジェットプリントヘッドを搭載した高効率・高品質なインクジェットプリントエンジンを開発、製造、販売しており、顧客要望に応じたインテグレーションサービスに強みがあります。プリントエンジンはインクジェット印刷導入経験のない顧客でも容易に使用できるようにあらかじめ最適な状態に調整されており、小ロット化が進む印刷業界で今後、高い需要が期待されています。
京セラは、NIXKA社のグループ入りにより、プリントエンジン、インテグレーションサービスなどの新市場に参入し、プリントヘッド事業の拡大を図るとともに事業領域を広げることとなります。今後、両社の技術融合によるシナジーを追求し、新製品開発、新用途開拓を通じてインクジェット印刷の普及を図り、印刷産業の発展に寄与するとともに、グループのさらなる成長、発展につなげてまいります。

■新会社の概要

会社名 KYOCERA NIXKA Inkjet Systems S.A.S.
所在地 フランス ローヌ県 マルセイユ郡 オーバーニュ市
代表者 Paul Morgavi
従業員数 13名(2023年2月末)
事業内容 インクジェットプリントエンジンの開発・製造・販売

【参考情報:大野加筆】

1.NIXKA社のサイトはこちら
2.創業者 Paul Morgaviの Linkedinはこちら

3.なお、Linkedinの職歴には過去の記述が省略されていますが、彼はかつてフランス南部に存在した「IMPIKA」というインテグレーターの創業者です。NIXKA社の住所も IMPIKAと同じのようで、かつてのIMPIKAメンバーを集めたと推測します。

4.IMPIKAはその後 XEROXに買収され、XEROXのロールメディア高速ワンパス機や、インクジェットエンジン部分を供給し、Paulはその責任者の地位に就いていました。XEROXがロールメディアIJ機から撤退を決めた時に Paulも退職し、再び 2020年フランスにインテグレーター NIXKAを興し、それを京セラが買収したという流れです。

5.一年前の Linkedinへの投稿記事です

FENIX: ニクスカ初の産業用インクジェット導入

NIXKAの設立から1年、ヨーロッパと北米に拠点を持つ紙パッケージのグローバルリーダーであるNIXKAは、お客様先で初の量産型インクジェットを導入したことを発表しました。

FENIXと呼ばれるこの第5世代インクジェットプリントエンジンは、最新のインク循環ピエゾモジュールを搭載し、拡張性、モジュール性、柔軟性を備えた特別設計で、最先端の産業用インクジェット技術を結集しています。

この新しい超高速インクジェットプラットフォームは、あらゆるモノクロの可変情報を最高400m/mnで印刷することができます。

今日、インクジェットマーキング・プリンティングシステムに関連する製品は幅広く、多様化しています。
しかし、本当の意味での生産環境における高性能を求めると、利用可能なソリューションの数はほんの一握りになってしまいます。

FENIXは、印字幅、解像度、速度が異なる複数のバージョンを提供しています。
それぞれ、既存の印刷機(フレキソ/オフセット/グラビア)やデジタル印刷機、仕上げシステム、包装ライン、製造工程などに簡単に組み込むことができます。

今回の導入はその第一弾であり、2022年以降、さらに大規模な展開が予定されています。

NIXKAは、高性能な産業用インクジェットアプリケーションに特化し、以下のようなユニークな製品を提供しています:
– 産業用アプリケーション、パーソナライゼーション、バージョニング(デジタルパッケージング、セキュリティなど)向けの最大400m/mnの超高速印刷機能。
– 写真印刷、商業印刷、グラフィックアート、フレキシブルフィルムなどの用途に対応した1200dpiおよび2400dpiの超高画質システム。)

画期的なソリューション、オールインワン、そして驚異的なカラー印刷品質で、今後数週間以内にさらに登場する予定です。

6.大野の理解

NIXKA社のサイトや Linkedinの情報からは、同社が目指すものは産業用インクジェット装置のインテグレーションであり、それを最短で実現するために「コンパクトなプリントエンジン(FENIX)」を開発して組み込むというアプローチに見えます。これはコニカミノルタヘッドを採用している英国ケンブリッジの Industrial Inkjet Ltd.社と同じやり方です。

京セラはグループ内に京セラドキュメントソリューションズというプリンタ事業を展開する企業がありますが、そちらは完成品事業なので、今回の買収とは少なくとも直接の関係・関与や直近でのシナジーは無いものと思われます(・・・長期的にはなんでも有り得ますが・・・)

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