キヤノン:第3四半期決算はまだら模様

キヤノンは、今年度第3四半期の業績を発表し、売上高は 19.5%増と軒並み増加しまし、キヤノンに帰属する当期利益は 541億 18百万円あるいは 373億 228ドルとなりましが、税引後利益は 790億 76百万円と 0.3%の微減となりました。

キヤノンは、印刷事業だけでなく、画像処理機器や半導体製造装置など、幅広いポートフォリオを有しています

キヤノンは、世界的なインフレと金利上昇を主因としていますが、サプライチェーンの問題によるコスト上昇も一因と見られます。

キヤノンは、いくつかのビジネスユニットに分かれています。キヤノンは、民生用・業務用カメラ機器を扱うイメージング事業、民生用・オフィス用複合機・プロダクションプリントなどのプリンティング事業、診断機器を中心とするメディカル事業、半導体・メモリー・フラットパネルディスプレイ向け露光装置を中心とするインダストリアル事業、に分かれています。

当四半期の印刷ビジネスユニットの売上高は、前年同期比 20.1%増加の 5,515 億円となりました。しかし、税引前利益は、部品・物流費の増加や、パンデミック後のハードウエアの販売回復に伴う比率の上昇に より、前年同期比 29.9%減の 435億円となりました。

キヤノンによれば、プロダクションプリンティング機器は、高速カットシートカラーインクジェット印刷機「VarioPrint iX」シリーズの販売が好調だったことなどにより増収となり、この分野のサービス収入も増加しました。印刷分野では、半導体チップの供給状況の改善によりオフィス向け複合機の売上は前年同期に比べ増加 しました。一方、オフィスワークへの回帰が進んだことにより、サービスや消耗品の売上は微増にとどまりました。一方、レーザープリンター及びインクジェットプリンターの売上は前年同期に比べ大幅 に増加しましたが、消耗品は在宅勤務のお客様の需要が減速し、前年同期に比べ減収となりました。

当年度第3四半期累計のプリンティング部門の売上高は、1兆 6,238 億円と前年同期比 14.5%の増収となりました。しかし、税引前利益は 1,691億円となり、前年同期比 7.4%減少しました。

画像情報処理機器事業では、売上高は前年同期比 32%増の 2,029 億円、税引前利益は同 108.1%増の 368 億円となり、全製品が好調に推移しました。

メディカル事業は、売上高は前年同期比 9%増加の 1,261億円、税引前利益は部品・物流費の増加により 35.2%減少の 66億円となり、まだら模様となりました。

当四半期は、産業用材料・機器事業が好調に推移しました。半導体露光装置の売上は増加しましたが、FPD露光装置の売上は在宅勤務者の増加や景気後退の影響に より横ばいとなりました。この結果、売上高は 1,545 億円(前年同期比 18.5%増)、税引前利益は 163 億円(前年同期比 992.6% 増)と、半導体露光装置の販売台数増を主な要因として増収増益となりました。

今後の見通しとして、オフィス複合機の需要は引き続き堅調に推移するものの、在宅勤務の増加や景気減速の影響もあり、レーザープリンターやインクジェットプリンターの需要は伸び悩むと見ています。

カメラについては引き続き需要が見込まれ、業務用映像機器については、動画配信の普及に伴う映像コンテンツの需要増に伴い、一定の成長が見込まれます。医療機器では、画像診断装置を中心に、Covid-19の大流行で抑制された大型投資が回復し、堅調に推移するものと見込んでいます。半導体露光装置は、ロジックなど幅広い分野での需要が継続する見込みです。FPD露光装置は、Covid-19の流行に伴う在宅勤務需要の減少により、パネルメーカーの投資遅れが懸念されます。

この結果、キヤノンは通期業績予想を上方修正し、連結売上高は 4兆900億円、前期比 16.4%増となる見通しです。営業利益は、前年同期比 36.6%増の 3,850億円程度となる見込みです。一方、有価証券評価損や為替差損を織り込んだ税引前利益は 3,670億円(前期比 21.2%増)、当社に帰属する当期利益は 2,500億円(前期比 16.4%増)を見込んでいます。これは、最近の為替レートと、生産量の最大化と市場における競争力のある製品の供給への継続的な努力に基づくものですが、かなり強気と思われます。

キヤノンの投資家向け説明会では、世界各地域の経済概況についても興味深い説明がなされており、日本経済は、主に個人消費の緩和により緩やかに回復しているとのことです。米国経済は、インフレの影響で減速してはいるが、個人消費は依然堅調であるとのこと。欧州では「ウクライナ危機」を主因とするエネルギー価格の上昇により景気が減速しており、中国ではコロナ規制の継続により景気が打撃を受けています。しかし、インドや東南アジアでは、緩やかな景気回復が見られます。

キヤノンの詳細については、同社のメインサイト global.canonでご覧いただけます。

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