- 2022-1-31
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HappyPrintersや HappyFabricでお馴染みの堀江さんが長年温めていた構想の一つがまた形になったようです。堀江さんは既に「Printio」という B2Bのプリントビジネスを立ち上げていますが、B2Bであるが故に HappyPrintersや HappyFabricとは異なり、一般ピープルからはその姿が見えません。
プレスリリースに概要がまとめられていますが、その前に私の理解を纏めると:
堀江さんがやっている事業に於いて「HappyPrintersや HappyFabricのサイトは、工場(=各種のプリンターやカッター等が設置されプリント物を生産する場所)の、プリント物を発注してくれる一般のお客さんに対して開かれた窓」という意味合いのものです。
通常、事業者は事業を拡大するために、プリンターの種類や能力をアップする設備投資を行い、扱えるアイテムを増やし、一方でサイトをより魅力的なものにブラッシュアップし、SNSなどでも宣伝し、多くのビジターを獲得し、購入してくれたお客を登録し、定期的にメルマガなどを送って購入意欲を刺激したりリピート率を上げたり・・・などを行います。もちろん、HappyPrintersや HappyFabricもそれはそれでちゃんとやっています。これはその事業の売上高が伸びるという形で結果がでるので分り易いです。
ここで「インターネットの申し子」(笑)の堀江さん目からはもう一つ見えたものがあって・・・「自分で設備投資をして扱いアイテムの幅を広げるより、既にやっている専門工場にアウトソースしよう。また注文をくれる側も一般ピープルだけではないだろう。企業や個人事業主にも販促物や記念品などを発注するニーズはある。更には無店舗のネット販売事業者でさえも、どこかの工場にブツを発注する必要があるわけだ」
堀江さんは既に複数の、専門分野が異なる工場群をレパートリーとして繋いでおり、これら工場群へのプリント物の発注をサービス化して APIとして発注者に提供し、発注者サイドのシステムに組み込んでもらうことにより「簡単にプリントサービス」を実現する・・・というものです。ということで Printio自体は一般ピープルの目に触れることなく、工場と発注者の間を取り持つ「ミドルウェア」的なポジションを取るということでしょう。[
この「工場群をレパートリーとして繋ぐ」というのが恐らく「言うは易し、西川きよし」((笑)の世界と思われ・・・一般に工場は「印刷機・プリンターなどのハードには設備投資意欲は高くても、ネットの時代になってもソフトへの投資に必要性が理解されない」「手書きの注文書がFAXで入ってくるのがデファクトの工場」みたいのが殆どというのが実態のところに、こういう話を持ち込んで「繋がってもらう」までにはかなりの労力を要したことでしょう。
また発注するサイドも、工場への発注が手書きやFAXがデファクトという実態をベースに、その納期管理や配送管理をするための人が割り当てられており、その仕事の総量を日本全体で合計すると気の遠くなるような「膨大な無駄」=API化で撲滅できるタカラの山・・・ということになるのでしょう。この無駄の削減金額から「薄く還元して貰えれば、この枠組みに参加するすべてのユニットがハッピー」というのがツボと思います。更に、これまでの「大量発注・大量生産・要るだけ消費・残りは廃棄」的な無駄の削減からの還元も期待できるでしょう。
「これからは小ロットが得意なデジタルプリント」・・・これをいう人は多く、漠然とした理解は間違ってはいませんが、それを言っているだけでは何も起こりません。では具体的にどうやって?・・・というところに一つの「具体的な答え」を提示したのが PrintioAPIかと思います。これまでのメーカーの商品企画は、解像度や速度などハードや、ソフトといってもオペパネの UIとかワークフローといった「工場の中で起こることの改善」に目が向きがちだったように思います。インターネットですべてが繋がるのが前提の時代には、商品企画の重点も自ずと移るのが妥当なのでないでしょうか?
余談ですが・・・日本のデジタル化が遅れている原因の一つ(ひょっとしたら元凶?)はハンコ文化と並んで「FAX文化」ではないでしょうか?(笑)FAXで受注している工場や、コロナ感染者を報告させているお役所は・・・5年後には生き残っていないでしょうね(笑)
プレスリリースはこちら
APIに関する解説は例えばこちら(他にも多数あります)