第26回上海大判プリンタ展示会2018(1):速報


大判プリンタ展示会とは、わかりやすくするために私が勝手にそう呼んでいるだけで、もう少し正確に言うと「広告制作用設備」・「LED看板」・「梱包資材」などいくつかの個別の展示会が複合した大規模展示会です。インクジェットの大判プリンタが並ぶのは2号館と3号館が主で、その他は「LED看板」・「塩ビシートやアクリルボードなどのメディア・資材」・「段ボールや紙器」などのブースが所狭しと並んでいます。それでも「四葉のクローバーの葉をそれぞれ2分割したホール(館)が全部で8つあるなかで、その二つ、すなわち全体の1/4を占める大判プリンタ関連は最大の存在感を示しています。


お馴染みの「展示会場のサイズ比較」です。正直申して「無駄に大きい」感は否めませんが、それでもこれが埋まって盛況であるという現実を目の当たりにすると圧倒されるものがあります。私が前職コニカミノルタでインクジェットを担当するようになってしばらく経った2003年以降、殆ど欠かさず毎年来ていますが(当初は夏に開催)、現状で産業用インクジェットの主要な位置を占めているワイドフォーマットプリンタの世界を理解しようと思えば、この上海展示会と5月に欧州で開催されるFESPA、この2つの展示会は視察が必須と断言できます。

予算がどうとかこうとか…まあいろいろあるでしょう。が、しかし、上海往復なんて安いもんです。会社がケチなことを言うなら、有給休暇を取って自腹で来る!それだけの価値はあります。世界観が変わります。ケチなことを言っている経営層も、是非自腹で来てください(笑)。上層部として産業用インクジェットを統括や担当や管理するお立場にありながら、これを体感したことが無いというのもいかがなものかと…(笑)

私のミッションは、こういう展示会の状況も含め、「産業用インクジェットの世界を、臨場感をもって分かり易くお伝えすること」と心得ておりますが、それでも自分の目で見て、自分の鼻でインクの匂いを嗅いで、自分の肌でスケールを感じるというという実体験には遠く及びません。こんな展示会は他にありません。まさに百聞は一見に如かずです。今年来られなかった皆様、来年は(自腹ででも)是非お出かけください。ガイドツアーは来年も企画しようと思っていますが、自腹で来た人は無料参加可能ということも考えています。今年5月15~18日のFESPA(ベルリン開催)も必須ですよ。

ガイドツアー、精力的に回りました

今回はまた、折角視察される皆様のご理解を少しでも深めるお手伝いをと、私とインク開発会社JETICの鷹尾社長とのコラボで、通訳付きのガイドツアーを実施いたしました。現地インクベンダー5社、プリンタメーカー4社のブースを訪問し事業紹介や質疑応答を行いました。ほぼ全ての相手で社長と会うことができ、有用な情報が得られたと思います。主な質問内容は:
★御社の歴史・事業紹介・何をもって他社より優位と考えているか?
★どの位の生産量なのか?(インクトン数、プリンタ台数)
★中国国内販売と輸出の比率はどのくらいか?有力な輸出先はどこか?
★インク種別の内訳は?その中で伸びの顕著なものは?何故伸びが顕著なのか?
★今後はなにが伸びると思うか?何故そう思うか?
★ヘッドはどこが勢いがあるか?何故そう思うか?
★インクベンダー・プリンタメーカーの視点から、どこのヘッドが使いやすいか?何故そう思うか?
★インクベンダーの視点から、どの中国メーカーのプリンタが扱いやすいか?お客に推薦するとしたらどのメーカーのものか?
なお今回は有償の企画なので、インタビュー内容の個別詳細は参加されたメンバー間のみでの共有とさせて頂き、このサイトに於いては総括的全体感を報告していきます。

■ さて本題ですが…EPSONの安価プリンターから剥ぎ取られたヘッドが、ちょっと凄いことに…

EPS3200(EPSONの3200ノズルヘッド)「1年保証します」と書いてあります

UVインク機と書いてあります

これもUV機と書いてます

実際にUVインクを撃ってLEDで硬化させているようです。白インクも撃てると書いてあります!(白+彩)

まだ全体感を整理の最中ですが、今回のトピックスを挙げる際に、間違いなくトップにランクされる話題は「EPS3200」と名付けられたEPSONヘッドの登場とその搭載機の爆発的ともいえる展示状況でしょう。3号館はミマキ・武藤工業やefi など海外メーカーと一部の中国メーカーが主体であるのに対し、2号館は中国のローカルメーカーが主体ですが、その2号館の真ん中あたりの一角は、ちょっとした「EPSONヘッド搭載機のお祭り状態」でした。

EPSONの通称DX5ヘッドが中国では広く流通していることはよく知られていますが、今回のは「3200ノズルヘッド」・「プレシジョンコアヘッド」・「UVインクが可能(白インクも可能)」・「1年保証」を謳い、複数のメーカーから一斉に大量に展示機が並べられたという点で、少し様相が異なっているようです。勿論EPSONが公式に発売したものではなく、安価なプリンタからの剥ぎ取り部品であることは明らかです。このヘッドについては追加情報がありますので、随時アップしていきます。

その他のトピックスとしては「昇華転写インクはまだまだ伸びる」・「中国製のUVインクのレベルが向上」・「小型のUV機」・「リコーヘッドの隆盛」などというところでしょうか。

以上、取り急ぎ速報まで

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