展示会報告 Heimtextil 2018(6)フランクフルト1月9~12日:デジタル集中フロア H4.0

ハイムテキスタイルでは2015年からデジタルプリント技術(プリンター)を集めたフロアを新設しました。まずはその出展者の推移を一表に纏めてみました。

展示会には、できるだけ多くの参加者を送り込む、かつコアになる人や事業責任者は継続的に参加するべき…というのが私の持論です。こういう展示会には各社の事業責任者が集まるものです。自らそういう場に出かけて、競合でも同業でも自分と同じような立場の人に会い、繋がり親交を結ぶ・旧交を温める…それが事業責任者の仕事というものでしょう。日本企業は一部の例外を除いて、事業責任者はこういう場に来ません。残念なことです。

また、同じ人(かつ複数)が継続してくることも重要です。もちろんスポットで参加しても、しないよりは圧倒的に「take away(お土産)」は多いですが、展示会にはトレンドがあります。継続的に、いわば定点観察して、以前との差分を感じることでより多くのものを得ることが出来るというものです。またできるだけ多くの人をというのは(不穏当な表現かもしれませんが)どうせ「群盲、象を撫でる」なら大勢で撫でる方がいいだろうと思うからです。

私は2017年1月はよんどころない事情で参加できませんでしたが、2015・2016及び今年2018年は参加し、その出展者推移をリストしてみたのが上の表です。気が付いたことを以下に列挙します。(順不同)個別出展社の状況は続報します。

■ まず表の上の方からですが、HPとKornit Digital は赤で強調しました。ここにきて出展の傾向が変わり、随分力を入れてきたように見えるからです。
■ 逆に2015年にいち早く出展していた4社「DURST(北イタリア)」・「M-TEX(ポルトガル)」・「d-Gen(韓国)」・「DGI(韓国)」は全て消えました。4社とワイドフォーマットプリンタ市場ではちゃんと存在しているので、会社が左前になったという事情ではなく、この展示会への出展への費用対効果をレビューした結果と考えられます。
■ ただ DURST は一般のアパレルは難しいと考え、DURST=α シリーズの3.2m機に力をいれていることから察するに、ホームテキスタイルに舵を切ったフシがあるのですが、ここから撤退したのはやや意外です。
■ 新規に出展したのは「aleph(イタリア)」・「DIMENSE」・「武藤工業(日本)」・「GoTx」です。個別詳細は次回以降に触れていきます。
■ インクベンダーでは「松井色素(日本)」が新規に登場しました。イタリアのファンド WISE の傘下に入った「 KIIAN 」はここ2年出展して元気です。ワインの産地の名前を冠したイスラエル系のベンチャー「BORDEAUX」は撤退しました。
■ FLINT の傘下となった乾式電子写真の XEIKON は安定して出展しています。電子写真と言えば湿式の HP Indigo が今年初めて顔を出しました。上記に「赤」で強調したのはその為です。
■ ソフトベンダーの AVA や、測色機の X-RITE など周辺を支えるベンダーが出てきました。
■ 最後の3社「SPG」・「ORBRICH」・「EMERSON&RENWICK」はロータリースクリーンの老舗で、正確に言うとこの H4.0 には無く、壁紙の展示スペースにブースを構えているのですが、SPG はシングルパスの PIKE を壁紙用途に展開することを公にしていますし、他の2社もインクジェットにトライしているので、ここに加えました。

このように、時系列で並べて差分を見てみると、何が起こっているのか、これから起こるのか見えてきます。皆さんも是非「差分」を意識した展示会の視察をお考え下さい。

次回からは個別出展社について紹介します。

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