Texprocess/TechTextil 視察メモ(2026.4.21-27-4)

Messe Frankfurtで毎回同時に開催される Texprocessと TechTextilですが、平たく言えば

Texprocess:ITMAが所謂「川上」・・・綿を紡いで糸にする紡績機器・それを織って布にする織機・それに色を付ける染色機。模様を付ける捺染機など一次産業的な繊維機械を扱うのに対して、その布を裁断する裁断機・それを縫い合わせて最終製品に仕立てるミシン・そういう加工業としての工場やデータを扱うソフトなどの展示会

TechTextil:機能性繊維・・・典型的には「消防服」「宇宙服」「軍服」などに使われる材料や技術を扱う展示会

ということになります。いずれにもデジタル・テキスタイルは紆余曲折ありながらも、実はあまり存在感はありません。その辺の事情は別途書きますが、まずはトピックスを並べていきます。サムネイル画像はクリックするとスライドショーになります。

 

【プリンター業界からの出展は5社】

Kornit・EPSON・ブラザー・リコー・Stratasys・・・もっともブラザーは工業ミシン部門としての出展でプリンター部門が主体ではなかった。プリンターの展示会では存在感の大きいミマキは出展していなかった

 

【目を引いた新規技術:不織布を「水」で縫い合わせる】

こちらで紹介したドイツの不織布メーカー「NORAFIN」社が開発した技術で「Hydro-Stitch(ハイドロ。スティッチ)と名付けているように「水のジェット噴射で不織布同士を縫い合わせる」というもの。

不織布はそもそも繊維を水の噴射で絡ませて作るが、それを縫合にも応用した・・・という原理は理解できるが、一度絡み合って不織布となった繊維をどうやってその絡みを解いて再び縫合・絡ませるのか?・・・このあたりはまだ腑に落ちてはいない。でも、現物はあるので何等か方法はあるのだろう。2mmくらいの厚いフエルト状のもの同士も可能でサンプルがあった。そのあたりが限界とのこと。

出来るとした場合、その利点は明らかだ。縫合するための糸が不要になる。接着剤も不要で、例えば廃棄の際にもシングルマテリアルで扱いやすいはずだ。どういう展開をするのか注目したい。

 

【最近の興味深いトピック】

ドイツはカッセルにあるミマキの代理店「Multi-Plot」社の Joachim Rees(ヨアヒム・リース)氏は大変なアイデアマンでいつも一歩先を行くような用途や応用技術を考え出す天才として大野が尊敬する人物。

その彼によると今一番ホットなテーマは「軍服」だそうだ。何故か?

軍服は基本的には「迷彩柄」だ。迷彩とは言え恐らく従来捺染機で型染めしたものだろうから同じパターンの繰り返しだろうと想像される。それでも人間の目には周囲の木や林や茂みに紛れ込まれるとなかなか見つけにくいものだし、だからこその迷彩服なわけだ。

ところが今ウクライナの前線などでは AIが搭載されたドローンが飛び回って索敵をしているという時代だ。人間の目は誤魔化せても、AI搭載のドローンは「繰り返しパターン」などを見つけるのは朝飯前というワケだ。

そこで彼が見せてくれたのが「ミマキの TRAPISでプリントした、繰り返し柄の無い迷彩」

軍服に使われるアクリル繊維に問題なくプリントできるとのこと。また肩章の縫い目なども AIで検知されやすいが DIFで解決可能と。但し軍用製品は要求仕様が非常に高い・難しいとのこと。別件だが欧州では DIPはそろそろ下火では?とのコメントも・・・

 

【存在感の薄い日本企業】

国がブランドとして存在感を示していたのはこんな感じ。中国企業には「漢字を使うな!」という指示かアドバイスがあったのでは?

中国企業はどこの展示会でもそうだが、中国人独特の「商売っ気」がなく説明員もスマホを弄って手持無沙汰感が漂っている

 

【日本企業の名前を見かけたのは散発的にこんな感じ】

あまり纏まった産業分野としては存在感が薄い。ミシンの JUKIはかつては最大級のブース面積で存在感を示していたが、コロナ禍や中国企業の台頭で連続赤字決算を経験し建て直し中・・・存在感は激減した

 

しかし本当の問題はそこじゃないだろう:DTMFはどこに行ってしまったんだ?

まずこちらをざっと目をお通しください。
Texprocess2017:繊維業界「川中」の展示会 Frankfurt 2017
Texprocess2019:フランクフルト 2019.5.14~17

ねえねえ、2017年・2019年頃に皆で騒いでいたコンセプト「DTMF:Digital Textile Micro Factory」・・・これってどこに行ってしまったんだ?その総括も反省も無ければ、今またデジタルテキスタイルを語る資格は無いと思う。

このコンセプトは何故消えたのか?何故今語られないのか?普及しなかったから最早語られないのか?十分普及したから語る意味がないのか?何なんだ?

そういう大野はなんなんだ?アンタも当時はこれを語っていたじゃないか?・・・はい、そうです!私なりに仮説を持ってます。それは既に上記のリンク(2017年・2019年)の報告の中に予感として書かれています。その「不幸な予感」の方が当たったように思ってます。

デジタルテキスタイルに関わる皆さん、これ一度徹底討論しましょうよ!

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