- 2025-5-16
- トピックス
業界各社 2024年度年間決算発表状況をチェックしています。今回はリコーです。今日もポーランドの田舎は雨模様で、体感温度がなんと「マイナス5度」!油断して Tシャツしか持ってきていないので、今日は部屋ごもりして仕事します(笑)幸い Wifiも奇跡的に繋がっているようです。
リコーの今回の決算は概ねQ3で見通したあたりに落ち着き、まずは無難な決算だったように見えます。まあ、営業利益率は 2.5%と業界他社と比べて低水準に留まっているので、なかなか万歳!という状況でもないようです。
あまり事例が多いわけではありませんが、他社が売上高は「円安の恩恵を除けば微減~横這いではないか?と思われるくらいの微増で営業利益が激増している印象という中で、リコーは売上高はそこそこ伸びて、営業利益は微増・・・と、やはりまだ利益構造になんらか課題があるように思われます。
それを「企業価値向上プロジェクト」と称していますが所謂構造改革・構造転換道半ば・・・ということでしょうか?
2025年度の見通しについては、トランプ関税への対処策も含めて開示されていますが、結果として売上高は微増(少し円高に振れている今、それでも微増は評価します)、営業利益は少し意味のある伸長(営業利益率で 3.1%)となっています。まあ、これもトランプ関税が馬脚を現す頃に改めて見直すことでいいと思います。
これは私がリコーの事業構造や用語の定義をちゃんとは理解していないのがいけないのですが、それにしても「デジタルサービス」という言葉には違和感があります。またオフィスプリンティングとオフィスサービスが有ったり、ストック売上なる言葉もあるし・・・ちゃんと説明会に出席しないと理解できない感じです・・・してもダメかも(笑)毎回、その構造と定義をちゃんと説明するスライドを補足ででも挿入しておく必要があるように思います。
もうひとつ苦言を呈せば、資料が 2015年以降からしか開示されていません。富士フイルムやコニカミノルタなどは 2000年から開示されており、キヤノンも 2005年から開示されています。ここは改善して頂きたい部分ですね・・・

「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:無」となっていますが第2四半期時点では下記のように営業利益見通しが 52,000百万円だったので、実質的には上方修正です。本件は昨年 11月 25日付で「当社の子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断および通期業績予想の修正に関するお知らせ」にて開示・修正が公表されています。裁判用語が多くイマイチ判り辛いですが、中国での仲裁がプラスに転んだということでしょうか・・・
しかしこういうグラフで見ると、同社は長期間、営業利益が低水準で推移しているんですね。この6年で5%を超えた四半期は2度しかありません。現在「プロジェクト費用」を積んで体質改善を推進中と理解していますが、それが終了した時点ではこの点の改善を期待・・・というか最低限やらなければいけないことでしょう。またプロジェクト費用の内容も開示を頂きたいものです。
いま持ち出す話ではないようにも思いますが・・・私はこの「デジタルサービス」という言葉がイマイチよくわかっていません。大意は「ハード売りへの過度な依存から脱してソフト的なもののウェイトを増やす」くらいな意味ではないかと思うのですが、それにしてもデジタル+サービスという曖昧な(ブロードな)概念を二つ並べて、リコー全体の従業員の皆さんの腑に落とす標語になっているのでしょうか?
第3四半期決算に合わせるタイミングで「OKIがリコー・東芝陣営に、事務機再編加速」という発表がありました」(日経の関連記事はこちら)
ホンダと日産では、様々な点で明らかに見劣りのする日産が妙なプライドに拘って破談になったのはつい最近のことですが、こちらのアライアンスはどう成り行くのでしょうか?
まだコメントするにはあまりにも時期尚早なので、もう少し様子を見たいと思います。
ただ、この時点で言えることは・・・全く別の話でのたとえ話にはなるのですが・・・ウクライナの停戦に向けての交渉に、アメリカ(ケロッグ代表)は「欧州諸国は参加させない。関係者が多くなると利害が複雑になりコトが進まない!」と欧州諸国を切り捨てました。独裁的なコトの進め方の是非はさておくと、確かにそういう側面はあります。ブリュッセルの官僚主義が「何も決められない」と揶揄される所以です。
そして勿論、欧州諸国はそれに猛反発しており、逆にアメリカ抜きで欧州諸国としてやるべきことを議論するためのパリのエリゼ宮に集まって対応を協議しています。ところが果せるかな、ここでは欧州諸国の間に温度差があることが逆に浮き彫りになっています。例えば、ロシアーウクライナの停戦監視に自国軍を派遣するかどうか?積極的な英仏に対し、ドイツやポーランドは否定的で議論は纏まりません。
更には、ハンガリーやスロバキアなどロシア寄りの国は「欧州の大国だけでコトそ進めて、自分達小国は無視されている」とまで言い出す始末・・・
トランプはそのくらいのことは先刻お見通しで「だから、欧州諸国なんて入れるとロクなことにならん」という訳です。
なにが言いたいのかというと・・・関係者が多くなると利害の調整は難しくなるのは明白ですが、最後には「断」を下すことが必要になる局面があると思われます。私の印象では、リコーは非常に紳士的な会社で、少なくとも「トランプ的な断の下し方」はしないという気がします。一方で、この3社の中ではリコーが「長男格」であることもまた事実でしょう。
断を下さざるを得なくなる局面で、リコーがどう振る舞うのか?そこは非常に興味のあるところです。
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