- 2024-11-7
- Nessan Cleary 記事紹介
2024年11月7日
HPは、Latex FS50と FS60という 2つの新しいラテックス大判プリンターを発表した。これらの新機種の目的が明確ではないことに加え、同社が Drupaでプレビューしたライブプロダクションソフトウェアもある。
Latex FS50/60は、幅 3.2mのロール紙給紙式プリンターである。しかし、HPは、既存の2700シリーズのラテックスプリンター(2022年発売)を少し改良し、新しい名称を付けただけのようだ。名称以外には、これらのプリンターに特に目新しい点はないようである。同じプリントヘッドと第 4世代のラテックスインクを使用し、印刷速度も同じで、2700シリーズのアクセサリーと互換性があるようだ。 つまり、HPがこれらの製品を新モデルとして装うことで何を達成しようとしていたのかは不明だ。おそらく、これらの製品が実際に新モデルであるという事実から、多少の販売促進効果を期待していたのかもしれまない。
両機種の唯一の顕著な違いは、FS50のインクは 5Lのボックスで供給されるのに対し、FS60は 10Lのインクボックスを使用している点である。同じシャーシを使用しているため、ソフトウェアの簡単なアップグレードで、FS50が 10Lインクカートリッジに関連するチップを受け入れられるようになる可能性が高いと思われる。
もう一つの違いは、FS60には 2700シリーズのジャンボデュアルロールキットが付属しており、これによりユーザーは幅 1.6mのロール紙2本を並べて印刷することができる。このキットとより大きなインクカートリッジにより、FS50よりも長時間、一晩中無人でプリンターを稼働させて全体のスループットを向上させることも可能になるはずだ。ジャンボロールキットは FS50用のオプションとしても利用可能である。
HPは FS50の保証期間を 1年間に限定しているが、FS60の保証期間が 2年間であることから、同社は明らかに、保証の対象外であってもプリンターは 2年間は問題なく使用できると自信を持っていることが分かる。また、FS50は世界中で販売されているのに対し、FS60は生産性がより重視される米国やヨーロッパなど、特定の市場のみで販売されていることも指摘しておくべきだろう。
それ以外では、両機種とも CMYKに加えてライトシアンとライトマゼンタを含む 6色のインクセットを搭載している。さらに 2つの液体チャンネルがあり、1つはラテックスオプティマイザー(プライマー)用、もう 1つはラテックスオーバーコート用で、印刷仕上げの耐引っ掻き性と耐久性を高める。これにより、8つのチャンネルに 8つのプリントヘッド、つまり液体 1つにつき 1つのプリントヘッドが搭載されることになる。
さらに、両モデルにはそれぞれ、白インクを含む別バージョンもある。この場合、HPの特別なデュアルチャンバー再循環バージョンとなり、プリントヘッドは9つとなる。当然ながら、これらは HPの実績ある 1200 x 1200 dpiのサーマルプリントヘッドであり、消耗品として扱う必要がある。ただし、HPはプリントヘッドの寿命を最大限に延ばすことに非常に長けている。FS50Wまたは FS60Wのいずれを選択した場合でも、白インクは 3Lカートリッジでのみ供給される点に注目すべきだろう。
HPは、生産速度は約 89平方メートル/時(2700シリーズと同じ)と主張しているが、これは CMYKlcLmを3パスで使用した場合のみである。白のハイライトを印刷すると、速度は54平方メートル/時に低下する。白インク搭載モデルは、バックライトディスプレイ用の3層および 5層印刷にも対応している。
HPは、これら新しくはないプリンターとともに、今夏の Drupaショーでデモを行った Live Productionソフトウェアも発表した。これは、プロフェッショナルプリントサービスプラン用の新しいモジュールである。これにより、ユーザーはプリンターを遠隔操作し、プリンターの状態やインクの通知を監視し、ジョブをキャンセルしたりリセットしたりすることなく、印刷キューを遠隔で再編成することができる。デスクトップと新しいモバイルアプリの両方から実行できる。
HPラージフォーマット部門のゼネラルマネージャーであるダニエル・マルティネス氏は次のようにコメントしている。「これらのソリューションは、中~大規模のプリントサービスプロバイダーが、最先端のハードウェアおよびソフトウェアソリューションを活用して未来を受け入れ、継続的な適応力を育むことを可能にするように設計されています。 ワークフローと機器がビジネスとともに進化できるようにすることで、これらの最先端のソリューションは、変化し続ける市場においてお客様が競争力を維持することを保証します」。
両プリンターの詳細については、hp.comをご覧く頂きたい。サービスプランの詳細についてはこちらです。