OIJC:drupa2024 報告会 事前質問&回答 (4)

OIJC主催の drupa2024報告会にて事前質問を募集したところ、沢山のいい質問が集まりました。これを参加者だけで独占するにはあまりに勿体なく、また回答も広く募集したいのでこちらに公開いたします。回答は今回出張された何人かの専門家の方にも順次お願いしていきます。デジタル(インクジェットの)向かう方向性に関して・・・

スペックに関して

★ デジタル印刷の画質は今回の drupaで十分なレベルに達していると思いますが、今後も更なる改善が必要なのでしょうか?

【回答者:中尾
連帳IJでも一般的な画質は十分で、最も品質に厳しい日本でもオフセット印刷の代替として受け入れら始めるでしょうね。じゃ、多種多様な紙種に対しその画質をどう実現しているのか?風合いが変わったり液種が増える(=パラメータ増による品質の不安定要素)プライマーでの画質改善が最終ソリューションでいいのか?インクだけで様々な紙種への対応を頑張れると安定度は増すはずだがどうする?さらに画質以外の品質として、紙の仕上がり(カール、波打ち、シワ、あるいは静電気などの抑制)を良化するシステムを目指して欲しい。

デジタルの向かう方向性

★ デジタル化率向上のためには、これ以上の画質向上より、低価格化、小型化、省エネ化などのほうがより有効だと思うのですが、どのようにお考えですか?

【回答者:中尾】おっしゃる通りです。
★ 小型化は特に日本では必要。しかし、機能と能力を犠牲にする小型化はダメ(小さくした結果インクが乾くパス長が十分でないプリンターが過去にあった)。印刷速度のアップ、インク量増につれ、水性インクの乾燥には特にコート紙で膨大なエネルギーが必要になりもはやエコで無くなっている。UVインクもダメだけど水性インクもダメと言われ始めている。ここは重要でブレークスルーや考えの転換が必要。排熱の再利用や熱を集中させる省エネルギーの乾燥方法など。プロダクションプリンターの低価格化策は微妙で、価格を安くしても誰もが買うわけではないし、ベンダーの開発意欲が低下する。使いたい時にすぐ使え、簡単にセットアップができる方向はいつの世にも間違いはない。

【回答者:大野】
★ 上の中尾さんの指摘は重要です。水系インクはエコなのか?自動車でガソリンエンジンを止めて電気自動車に向かう・・・でもバッテリーを生産するのに莫大な CO2を排出すると、それってホントにエコなの?という議論と同じで、水系インクでも乾燥に莫大な電気エネルギーを使うランダってホントにエコなの?(笑)

従って、今回の drupaの注目技術として「台湾のインクメーカー SIRECHの『乾燥の不要な水系インク』や富士フイルムの『AQUAFUZE』に着目したのです。SITECHの技術は速度が 50m/min以下でとか、フイルムには無理とか制約はありますが、乾燥工程にかける莫大な電気エネルギーが不要になるとすれば意味は非常に大きいと思います。富士フイルムの AQUAFUZEもそういう観点から着目したいと思います。

関連記事

ページ上部へ戻る