千葉大学:カフェインで燃料電池を充電

2024年3月25日

日本の千葉大学の研究者は、カフェインが疲れた人間の充電に良いだけでなく、酸素還元反応の活性を高めることによって燃料電池の効率を高めるのにも使えることを発見した。

私は時々、印刷とはほとんど関係ないが、製造の観点からは興味深い話に出くわす。そして、クリーンエネルギーの生成に関係するものは、多くの読者にとって常に興味深いものである。世界が化石燃料からの脱却を目指すなか、環境に優しいエネルギー形態を提供する燃料電池もそのひとつだ。燃料電池は基本的に、電解質で分離された陽極と陰極で構成されている。水素のような燃料は陽極に加えられ、酸化剤(通常は空気中の酸素)は陰極に導入される。水素燃料電池では、水素がアノードで酸化を受け、水素イオンと電子が生成される。イオンは電解質を通ってカソードに移動し、電子は外部回路を通って電気を発生させる。陰極では、酸素が水素イオンと電子と結合し、唯一の副産物として水が生成される。

この場合の問題は、水が燃料電池の性能に影響を及ぼすことだ。水は白金(Pt)触媒と反応して電極上に水酸化白金(PtOH)層を形成し、酸素還元反応(ORR)の効率的な触媒作用を阻害するため、エネルギーと総合効率の低下につながる。これを回避するには、白金担持量を多くするのが一般的だが、燃料電池のコストを大幅に押し上げることになる。

しかし、千葉大学大学院工学研究科の星長宏教授、中村雅史教授、久保隆太教授、鈴木塁教授らの研究チームは、特定の白金電極にカフェインを添加すると ORRの活性が高まることを発見した。この発見は、白金の必要量を減らし、燃料電池をより安価で高効率なものにする可能性を秘めている。

カフェインが電極表面に吸着し、水素の吸着と電極上での白金酸化物の形成を効果的に防ぐというものだ。カフェインの効果の度合いは、電極表面の白金原子の向きによって決まる。

一般に、燃料電池は燃料が供給される限り発電が可能であるため、自動車、建物、宇宙ミッションなどさまざまな用途に適している。この新しい方法は、燃料電池の設計を改善し、その普及につながる可能性を秘めている。

星教授は次のように述べた: 「コーヒーに含まれる化学物質のひとつであるカフェインは、原子配列が六角形構造である、よく定義された白金電極上で、燃料電池反応の活性を 11倍高める。

と彼は説明している: 「Pt(111)と Pt(110)の ORR活性の増加は、吸着したカフェインの PtOH被覆率の低下と立体障害の低下に起因する。逆に Pt(100)では、PtOHの減少効果は吸着したカフェインの立体障害によって打ち消されたため、カフェインは ORR活性に影響しなかった」

この研究を詳述した原著論文は、カフェインで修飾された白金単結晶電極上での酸素還元反応の促進(Enhanced oxygen reduction reaction on caffeine-modified platinum single-crystal electrodes)と題され、Communications Chemistry誌に掲載された。 詳細は千葉大学から

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