京セラ:新しい KJ4Bプリントヘッド

2024年3月12日

京セラは、水性インク用に設計された新しいプリントヘッドKJ4B-EX1200-RCを発表した。

この新しいヘッドは、2020年 1月に発表され、以前取り上げた KJ4B EX1200の改良版のようで、そちらはその後 2022年に製造中止となったと思われる。その代わり、新しい KJ4B-EX1200 RCはボディが若干コンパクトになり、サイズは 200 x 58.5 x 79.3mmだが、プリント幅は同じ 108.3mmで、ノズル密度は 1200npiに相当する同じ 5116ノズルだ。

このプリントヘッドは、ノズルプレートを通過する液体を完全に再循環させるのが特徴で、ノズルが詰まる可能性を抑えるのに役立つはずだ。インクチャネルは 1つで、最大 1200dpiの解像度を提供できるようだ。最高 101.6mpmで動作するという。

最も重要な点は、この新しいヘッドは 2plのネイティブドロップサイズを持ち、最大噴射周波数 80kHzで最大 4plのドロップを生成できることだ。これは、OEMが波形を開発する際に、特定の用途に液滴量を最適化するための多くの柔軟性を提供する。また、インクレイダウンが非常に高くなるため、商業印刷用の高速乾燥やテキスタイル用の顔料インクなど、より機能性の高い液体を提供するのに役立つと京セラは示唆している。これは、水性インクがコート紙やフィルムへの印刷など、より幅広い用途に使用されるようになる一方で、印刷機の高解像度化が進み、インクの速乾性に対する需要も高まっていることを意味する。

しかし、このレベルの機能は高粘度インクを扱う能力も意味するが、新しいプリントヘッドの推奨インク粘度範囲は 5.0~6.0mPa*sである。ヘッドには加熱装置があり、これは通常、噴射直前にインクの粘度をコントロールするために使用される。興味深いことに、ヘッドには電子基板を過熱から保護するための水冷もある。

KJ4Bヘッドは水性インクの高速印刷用に設計されており、主に商業印刷、パッケージング、テキスタイル印刷の用途に使用されるが、京セラのプレスリリースでは建材についても言及している。EXプラットフォームは、京セラのバルクピエゾアプローチの最新版であり、京セラ独自のモノリシックピエゾアクチュエーターが採用されている。京セラの名前は京都セラミックスに由来し、同社はセラミックスの専門知識を駆使して、薄い圧電セラミック基板を使用した高密度多結晶セラミックアクチュエータを開発した。その結果、長さ 116mm、幅 34mm、深さわずか 0.04mmの非常に薄い圧電アクチュエータープレートが完成し、ヘッド内のインク室の上に設置された。このアクチュエーターに印加される電圧を波形と駆動電子回路で精密に制御することで、京セラはこのアクチュエーターの形状を微妙にコントロールし、各インク室からインクを吐出させることができる。これについては以前のレポートですでに取り上げた

この新しいプリントヘッドは、かなり古い KJ4B 1200と同じ電気インターフェースを使用しているため、OEMメーカーが機械を新しいモデルにアップグレードするのは簡単だろう。しかし、EX1200-RCは、旧型の KJ4B 1200ヘッドよりも印字領域が狭いことは注目に値する。

京セラは、KJ4B-EX1200-RCヘッドは 2024年4 月から発売されるとしている。しかし、一部のプリンター OEMではすでに使用されているのではないだろうか。これは、京セラのニクスカ・インクジェット・システムズ子会社が Lenixプリントエンジンに使用しているプリントヘッドと同じもののようだ。

この新しいヘッドは、京セラの鹿児島国分工場で開発された。京セラのプリントヘッドに関する詳細は kyocera.comを参照されたい。

原文はこちら

関連記事

ページ上部へ戻る