キヤノン:CorrPress iB17を発表

2025年10月28日

キヤノンは、段ボール板への直接印刷用新型シングルパスインクジェット包装印刷機「CorrPress iB17」を発表した。同社は昨年開催された Drupa展示会でコンセプトモデルを公開しており、筆者は既に本印刷機プリントヘッドについて記事を書いている。

本機は幅 1.7m、最大 80mpm(分速80メートル)で稼働し、時間当たり最大 8,000平方メートルを印刷可能。キヤノンによれば、年間約 1,500万平方メートルの生産能力に相当する。水性インクと ColorGripプライマーを組み合わせ、間接食品接触に適した仕様だ。インク保護のためフレキソコーティング/ニスユニットの追加も計画中である。乾燥システムは、ライナーの特性やインク・プライマーの塗布量に応じて、温風と冷風を組み合わせた方式を採用している。

コストについては、3色以上を使用したフレキソ印刷との損益分岐点を、高品質グラフィック印刷ジョブ(最大 20,000平方メートル)で達成することを目標としていると述べるにとどまっている。当然ながら、キヤノンは短納期を武器に従来型印刷との競争に臨む構えだ。

キヤノンは 2027年初頭に最初の導入を目指しており、これはキヤノンプロダクションプリンティングの欧州本社に近いベータサイトとなる。CPPの包装事業開発シニアディレクター、ローランド・スタシチェクは私にこう語った。「既に印刷機を視察した選りすぐりの段ボール加工業者と協議中だ」

キヤノンはまた、I 昨年報じられた通り、CorrPressで使用される SiMEMSプリントヘッドの開発を進めている。これにより 1200×1200dpiの解像度を実現する。スタシチェクは言う: 「市場からのフィードバックでは、多くのコンバーターが高品質印刷を評価している。CorrPress iB17ならコストと生産性の両立が可能なため、新たな用途にも展開できる」

このヘッドは 40~70kHzで動作するが、最終的な液滴サイズは板紙とプリントヘッド間の印刷ギャップに依存する。キヤノンは現在もこの調整を進めている。印刷幅は約 100mmだ。

当然ながら完全循環式ヘッドであり、ノズルレベルまでインクを循環させる。これにより詰まりによる故障を抑制し、最適なインク滴噴射条件を確保する。キヤノンはプリントヘッド内のインク粘度を制御・監視しているとしている。

興味深いことに、キヤノンは生産遅延を避けるため、印刷機オペレーターにプリントヘッド交換の訓練を施す予定だ。平行四辺形形状のヘッドには内蔵キャリブレーション機能が備わり、プリントバー内で新旧ヘッドを並行して調整可能となる。

キヤノンは昨年、B1サイズの折り畳みカートン用インクジェット印刷機の開発を進めていることも明らかにしていたが、昨年時点での進捗ほどには進んでいないようだ。スタシチェク氏は現在こう語る。「我々は数年前から折り畳みカートン市場とその要求事項を集中的に調査してきた。キヤノンのコア技術を活かした産業規模のデジタル折り畳みカートンコンセプトの実現可能性を検討中であり、コンバーターにとって魅力的な提案を提供できると考えている。開発は継続中で、最終製品の可能性を定義している段階だが、現時点で詳細を述べるのは時期尚早だ」

彼は説明する:「デジタル折り畳みカートン印刷機市場は、約 15年前のデジタルラベル印刷市場と類似している。つまり、二つの条件が整うのを待つ新興市場だ。一つは競争力があり経済的に成立する設備の供給。もう一つは、従来のコンバーターやブランドオーナーが、販売・サプライチェーン・ビジネスモデルのニーズを支える短納期・デジタル印刷の利点を認識することだ。今後数年間でデジタル印刷の採用が加速すると確信しており、そのためラベル・包装開発活動に多額の投資を行っている」

スタシチェクは、エデール買収以降、キヤノンが折り畳み式カートン市場での存在感を確立し始めたと指摘する。さらに「現在のデジタル印刷機ポートフォリオは、限定的な用途を持つニッチ成長市場として小ロットの折り畳み式カートンを印刷する商業印刷業者にも利用されている」と付け加えた。

キヤノンプロダクションプリンティングの製品ラインアップに関する詳細は canon-europe.comで確認できる。本印刷機に関する筆者のオリジナルレポートはこちら、新プリントヘッドに関するレポートはこちらを参照のこと。

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