drupa 写真速報(8):Hall 5 理想科学&東芝TEC

【理想科学&東芝TEC】

理想科学の開発本部長と東芝 TECを会社分割(吸収分割)して引き継いだ会社の社長を兼任する大島健嗣氏。ご苦労様です!

例の段ボール印刷エンジンを出展しており、ブランドは「Integlide」としたようです。繊細な扱いを要するヘッドのノズル面がむき出しなのがちょっとドキドキしますが、オイルインク独特のオープンタイムの長さでこういうことができるということで既にかなりの引き合いがあるとのことです。

東芝 TECは所謂「独立駆動」の新ヘッド CX1を展示していました。ちょっと専門的になりますが簡単に解説すると・・・シェアウォールタイプ(XAARタイプと言われているヤツ・・・言いたくはないけれど(笑))はインクチャネルの壁を隣のインクチャネルと共有(シェア)しているために、全インクチャネルからは同時に出射することが出来ず、右の図のように ABCの Aだけ、Bだけ、Cだけの出射とならざるを得ません。

これを、ひとつ飛ばしに空チャネルを設けることで、解像度は半分になってしまいますが、もはや隣と壁を共有しないので全てのノズルから出射することができるという理屈です・・・やっぱり図が無いとわかり辛いですかね(笑)下の写真にかろうじてその図が写っています。

解像度が半分に落ちるのは、2つのチップをずらして張り合わせることで解決すると結果として速度は何割か早くなります。また水のような「固い」液体を撃つ際のクロストークの影響も(ひとつ飛ばしであるために)少ないとされています。

しかし・・・コニカミノルタでは最初にインクジェットに取り組んだ際に写真用途を意識していたために「水系染料インク」が必須とされていました。(今は水系インクはほぼ顔料ですが、当時は「より鮮やかな色を出すためにはやっぱり染料だろう」という神話があったのです。) ということで、当初から水系インクを撃つには独立駆動が必要ということで、2000年にはこの方式のヘッドは完成していました・・・特段新しい技術ではありません。

理想科学と東芝 TECが合体して、今後「社内向けヘッドを優先するのか?外販向けヘッドを優先するのか?」といったリソース配分問題もテーマになろうかと思います。私としては顧客にとっての選択肢は多い方がよく、東芝 TECヘッドのユニークさも十分あるので、大島さんや中村さんのかじ取りに期待したいところです。

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