犬も歩けば・・・ポーランドでの奇跡!

先般「マスターマインド:長野テクトロンの子会社に」という記事で

長野テクトロンのサイト
マスターマインドのサイト
シナジーが生まれて面白いことになるといいですね!と書き、その際に:

そういえば・・・自分の備忘メモですが、ポーランドにメンブレンスイッチとかキーボードを作る「QWERTY」ってベンチャーがあって、そこが大学と組んでインクジェットを応用する開発をやっていたなあ!思い出したら記事化します」と書きました。その話を書いておきます。

こんなことがあるのか!という奇跡の物語です!

当時、私はある会社の新規事業の市場開拓をお手伝いしていまして・・・その会社の開発技術者のTさんと欧州の潜在顧客を精力的に訪問していました。この会社は銀ナノ粒子をインク化・ペースト化して、電子部品製造や半導体の接合剤(鉛はんだ代替)などを目指しており、私のインクジェット人脈や欧州人脈がお役に立てそうだったので同行して市場開拓をしていたのです。

よくある出張は日程をガチガチに決めて「無駄のない日程で効率よく潜在顧客を訪問する」というものですが、欧州駐在経験が長い私の観点からは「そういうのは一番効率が悪い出張」と思われたのです。細かい話は省略しますが「日程に余裕を持たせて、訪問先で話が長引いたら翌日も訪問」「明日、意志決定者が返ってくるなら明日も訪問」「関連会社を紹介されたら、予定に無くても行く」・・・その方が結果として遥かに効率がいい!・・・そんな考え方で、一度欧州に来たら2~3週間滞在・巡回という日程を組んで出張をしていました・・・これ、実に効率いいですよ(別途書きます)

そういった中で、ある週末のことです。土日2日間は訪問先の顧客も休みなので、金午後・土・(日)はフリーとなるので、偶々ドイツの東にいた我々は「週末はチェコのプラハにでも行きますか」ということでまずプラハに行きました。

そこで街歩きと大野の旧友とチェコビールを呑んだ後、「あれ、ワルシャワ行の寝台列車があるんだね?ワルシャワに行ってみようか?」「お、行きましょう!」ノリがいい相棒(笑)・・・ということで、追加の寝台乗車券を買って夜行寝台列車に乗り込みました。乗車券はユーレイルパスを購入していたので、追加寝台料金はたったの €20です!

私は、通常は個室寝台を予約するのですが、その日は思い付きだったので3段ベッド。3人部屋で、相棒以外に見知らぬ人がもう一人・・・ま、そりゃそれでしゃあないですよね(笑)


で、その同室の人に挨拶をして、駅で買い込んだチェコビールをオファーしてお互いの自己紹介などをします。

すると、なんと・・・

この方はポーランドのウッチ工科大学のウラニスキー教授という人で「プラハの学会で発表してこれからポーランドに帰るところ」「普段は車でウッジからプラハに行くんだが、今回は都合で列車行くことにした」「研究テーマは『銀ナノインク』を『インクジェット』で飛ばして回路を形成して生産技術の革命を起こす」・・・というもの!

オイオイオイ!え?

私は某社でインクジェットの事業部長をやっていた+相棒はまさに銀ナノインク・ペーストの開発をやっているんです」!・・・なんという偶然!そんな偶然って皆既日食が起こる確率より更に低いのでは?日本人のインクジェット野郎(私)&日本人の銀ナノ専門家(相棒)がポーランドの銀ナノをインクジェットで飛ばして実用化を研究している教授と寝台車の同じ部屋で出会う?

余裕を持った出張で、思い付きで週末にドイツからチェコ・ポーランドに行こうなんて酔狂なことを思いつく・普段は車で移動する教授が今回は都合で列車移動にした・そもそもそんなタイミングでプラハで関連学会が開催されていた・そして私が同室の見知らぬ人にビール呑みません?とオファーして自己紹介を始めた・・・そういうことの何か一つが欠けてもこの出会いは有り得なかった!多分、皆既日食以下の確率だろうと思います!

列車はワルシャワに到着し、私と相棒は取り敢えずホテルに荷物を置きます。教授と助手はワルシャワ西駅で降りて、そこで乗り換えてウッチという町まで帰ります。ウッチはこういう町、映画の「家へ帰ろう」ワイダ監督の「残像」の舞台となった町で、映画好きの方ならご存じかも知れませんね。

で、ワルシャワに着いた我々は「市内の観光もいいけどさ、あの教授を訪ねてウッチ工科大学まで行ってみようよ!我々の関係する領域を研究してるって話だし!」「行きましょう!」・・・と、相棒もノリがいい!ビジネスパートナーはこうでなくっちゃね(笑)で、もらった名刺のメルアドに訪問希望を書いてメールすると即レスで「歓迎します!是非おいでください!」・・・そういうもんだぜ、世の中は(笑)


ウッチ工科大学の化学研究棟。ウラニスキー教授は日本の研究者とも繋がっている

研究室を案内してもらい学食でご馳走になる。映画にでも出てきそうなクラッシックな雰囲気・・・

ここで、ウラニスキー教授と訪問したのが、教授も顧問を務めるベンチャーのQWERTY」社・・QWERTYって、そう、あのキーボード配列の名称をそのまま社名にしたベンチャーで、キーボードやメンブレンスイッチを開発しており、そこに銀ナノなどの新規技術を積極的に導入している。

今回の長野テクトロンとマスターマインドの新しい関係の話で、こういうことを思い出しました!なにかのブレークスルーを期待しています!

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