年頭のご挨拶 2020年

2020年の年頭にあたりご挨拶を申し上げます。昨年5月末に父親が95歳で大往生しましたので年賀状・賀詞は控えさせていただきます。

【最近感じていること】

最近という訳ではなく、ずっと感じているのですが・・・日本の活力の低下です。もうちょっと正確に言えば、これまで日本とその成長を支えてきた思想・体制・企業の活力の低下ということです。そんなこと、今更言われなくても・・・という方も多いと思われますが、では分かっているなら、貴方自身はそれに対して何をしているのでしょうか?

これは有名な「イノベーションのジレンマ」の Wikipediaによる解説の冒頭部分ですが、単に個別大企業の話に留まらず、日本全体がそれに陥っており、その部分を構成する大企業や体制がフラクタル的な自己相似として同じ構造になっている・・・そんな気がします。Wikiの解説にある「新興の事業や技術は、小さく魅力なく映る」の部分は、一兆円規模の大企業社内での上からの指示「新規事業をやるならその 10%=1,000億円は狙って欲しい」は正しくそれでしょう。

流石に「カニバリズムによって既存の事業を破壊する可能性がある」というのは最近は「そんなことに構ってはいられない」という状況で容認されてきている様には見えますが、逆に「そんなことに構っていられないほど本業がヤバくなっている」ことの裏返しなのでしょう。

また、日本にいると気が付きにくいかも知れませんが、海外の日本を見る目も年々冷たくなっています。欧米企業が日本にアジアのヘッドクォーターを置いていたのは今は昔・・・最早、それは上海や香港です。展示会も、日本のモーターショーの重みや集客力は低下し、ITMAのアジア版は上海ですし、今を時めく3Dプリンティングの FORMNEXTのアジア版は東京ではなく深圳で開催されます。地盤沈下なら沈下しても地盤は残りますが、地盤消滅の危機・・・そんなことを感じるのです。皆さん、本音で危機感を持ちましょうよ!

閑話休題・・・最近「なるほど!」と思った HappyPrinters堀江さんのブログ記事をご紹介します。全文はこちらのリンクからお読み下さい。非常に分かり易い言葉で、現在の印刷業界が直面している課題と、自分の経験値も踏まえた上で、それにどう対処しようとしているのかが書かれています。

これはその中で引用されている図のひとつですが、要はデジタルトランスフォーメーション(DX)は、既存組織・体制・やり方の延長ではスピード感に欠け、いっそポンとゼロから構築してしまう方が速い・・・ということを説明しています。大企業でも、デジタルトランスフォーメーション(DX)はバズワード的なテーマになっているのではないかと思いますが、DX推進委員会なんか作っているようではダメだということです(笑)

さて、冒頭に「日本とその成長を支えてきた思想・体制・企業の活力の低下」と書きましたが、自分や自社の立ち位置を確認するには他者・他社との比較が有効です。よくいうポジショニングですね。自分・自社が社外・国外で通用するのか?それは社内・国内にいては分かりません。社外・国外に出てみることです。もっとも、日本全体がフラクタル的自己相似なら、社外にでても国内にいる限りはあまり変わった景色は見えないかもしれませんね。

やはり、日本に引き籠るのではなく、国外との比較で自社・自分の立ち位置を見直してみることです。私のこのサイトの目的のひとつは、海外の情報を日本に伝えることです。が、時々「このサイトを見ていれば海外の動き・出来事がわかるので有難い」というお褒めの言葉を頂くと複雑な気持ちになります。本当はこれを見て「やはり、自分で行かないとアカンな!」と思って頂きたいし、実際に出かけて頂きたいのです。

今年は drupaや Interpackがあるので、平年よりはドイツへの出張者が多いかも知れませんが、直近では上海の APPPEXPOなどは是非モンです。あれを見れば、日本のサイン系の展示会との比較において感じるもの・ショックを受けることが多いと思います。上位職から実務担当まで、自分の目で見て感じて頂きたいのです。

ただ最近「ちょっとヤバイな」と感じているのは、インクジェット技術を保有し、それを花咲かせる役割を担って欲しい電子写真・オフィス機器系のメーカーの業績が傷んできていることです。こういう局面では構造改革と銘打ったリストラや経費カットが行われますが、その際往々にして全社一律な経費カットに走りがちです。本来伸ばすべき事業・カネをかけるべき局面の事業の経費もカットされがちです。

そういう事業には本来かけるべきカネをしっかりかけて次に備え、その差分は「構造改革」とやらが必要になっている従来の主力事業に上乗せして経費カットをすべきでしょう。それが出来ないようなら新規事業(インクジェット事業)はいっそ売却してしまってキャッシュを作った方が、そこに関わる人も幸せというものです。ラグビーの日本代表のキーワード「One Team」が Abuseされそうな予感がするので、敢えて経営層の皆様にはお願いしておく次第です。

【昨年の活動の振り返りと今年のアクション】

さて、自分自身の活動ですが、昨年は海外に通算 84日でかけ、66日が欧州、9日が中国、5日が米国、4日が韓国という内訳でした。2018年は通算 99日だったので、随分減りましたが、Heimtextil、APPPEXPO、FESPA、ITMA、InPrint、上海TEXと主要な展示会は視察し、また国内でも第4回目となった WTiNの Japan Digital Textile Conference 2019を成功させたので、内容的には充実していたと自負しています。

Webへのアクセスも順調に伸びました。

2018年

2019年

バズった期間

ユーザーの国別内訳

昨年1月にスタートしたこのサイトは、昨年のユーザー数が約 40,000に対して4倍に増加しました。但し、ある記事が Googleの「おススメ記事」として紹介されたため本来期待しない方々からのアクセスが激増、所謂バズった状態となった期間があり、それを差し引くと約 80,000と倍増といったところです。

ユーザー数は「異なるブラウザ数」という理解で、一人が会社PC・自宅PC・スマホと平均3つの異なるブラウザを使っているという前提に立つと、80,000÷3≒27,000人の方がアクセスしたと推定されます。実際、業界の方とお会いすると殆どの方から「読んでるよ」とお声がけ頂きますし、海外でもかなりの外国人が Google翻訳を活用してアクセスしてくれているようです。有難いことです。

また初めての試みとして「今更訊けないインクジェット技術」と題したミニコンファレンスを開催し好評を頂きました。元は前職で自分の勉強と同時に、部門間の壁を取っ払う為に思いついた企画ですが、やはりこういう需要はあるんだ!と意を強くしたところです。この経験値が1月末の Japan Inkjet Business Conference 2020の企画に繋がっています。

さて、今年やろうと構想していることについては、既にこちらで書いたので詳細は省略します。

付番は少し異なりますが:
1.Japan Inkjet Business Conference 2020:海外のコンファレンスを日本に持ち込みます。海外ではこういうコンファレンスが当たり前に開催され、インクジェットのコミュニティが形成されているということをお見せしたいのです。ただ、先に書いたことにも通じますが「海外に行かなくても、これに参加すればいいや」・・・ではなく、これを機会に海外のコンファレンスにどんどん出かけて頂きたいし、そこでプレゼンもして欲しいし、コミュニティを形成して頂きたいのです。

2.Inkjet Suppliers’ Exhibition 2020:プリンタを構想して完成させるまでに必要な全てのアイテム・・・ヘッド・流路系部品・駆動系部品・インク・色材・ソフトウェア・測定器・コンサルティングに至るまで、広範なサプライヤーを一堂に集まって頂き、そのユーザー(プリンターやインク開発者・企画者など)との交流を促進します。インクジェットのコミュニティを目に見える形で現出させたいのです。お盆明けあたりで、まだ海外が始動する前あたりを考えています。

3.ミニコンファレンスの企画・運営:「今更訊けないシリーズ」を四半期に一度くらいのペースで開催しようと考えています。「今更訊けないインクジェット流路設計」・「今更訊けない3Dプリンター入門」などいろいろ考えたいと思います。私自身が講師となれるわけではないので、その道の専門家にお願いしていきます。変わったところでは「今更訊けない理系の為の会計の基礎」なんていかがでしょう?退職後に個人事業主となり青色申告のメリットを享受しようとすると複式簿記は必須の知識となります。これなら自分が講師となって、これまで簿記などに全く縁の無かった技術屋さんの目から2時間で鱗を落として見せます・・・ホンマかいな(笑)

4.中国調査ツアー(時期:随時):中国は市場としても、素材などの調達先としても、技術パートナーとしても重要なポジションにある一方で、玉石混交でなかなか「玉」を見つけることが簡単ではありません。ニーズに応じて中国企業の調査・交流ツアーを企画したいと思います。

5.海外展示会・コンファレンス視察と報告会及びWTINコンファレンス開催:APPPEXPO(3月)・FESPA(3月)・INTERPACK(5月)・DRUPA(6月)・The IJC(10月)・ITMA ASIA(10月)InPrint(11月)を予定しています。また、WTiNの Japan Digital Textile Conference 2020を主催運営予定です。

6.インクジェット家庭教師:これから技術屋さんが大量に定年・再雇用期間も終了してフリーになります。座学だけでなく、実際に自らの手を文字通りインクで汚して、売れるプリンタやインクを開発してきた技術屋さんたちが世の中に放出されるのです。その経験値を活用しないなんて勿体ないことです。私自身は仲介と仕組みづくりに徹し、実務には関与しないつもりですが、おそらく業法が絡んでくると思われるので、そこを少し勉強しようと思います。

7.このウェブの進化:既にかなり一杯なのですが、このサイトを構築する際にお世話になった Webの専門家と相談して、新しいコーナーを立ち上げたいと考えています。ここまでは自分自身の感性で思うことを書いてきましたが、私ではカバーできない分野をカバーして頂ける仲間を募り、更に提供する情報の幅を拡げていこうなどと考えています。

【最後に・・・最近少し嬉しかったこと】

ひとつ目は、海外の展示会に「自腹」で来る人を複数見かけるようになったことです。会社の経費削減で「出張の費用対効果」などを盾に出張人数を減らす動きがある中で、それではっ!と有り余る有給休暇を利用して、自腹でも自分が必要と思ったことをやる・自己投資と考えて自腹で海外の事情を視察に来る・・・こういう人材は見どころがあります。私もいろんな形で応援したいと思います。

かけるべき経費をケチった会社は、自腹で視察に行った人に「出張報告」など求めてはいけません。それはブラックな行為に他なりません。こういうガッツある人材は、いずれ経費節減の先に来るリストラの局面では一番会社に残って欲しい人材ですが、逆に一番先に見切りをつけて出ていく人材でもあります。既にコミュニティの中で自分の実力を客観評価出来ており、引っ張ってくれそうな相手とも繋がっているからです。

ふたつ目は、最近あるメーカーの事業リーダーから頂いたこんなメール・・・いや、LinkedInメッセージです。昨年の TheIJCへの出展・プレゼンを強くお勧めしたところ「昨年は大変お世話になり誠に有難うございました。本年も宜しくお願い申し上げます。Linkedinの効果は絶大であります。年末に繋がりリクエストを大量に入れた結果、年始早々に繋がりが 100人を超えました。それだけでなく、既に10人以上から当社製品の資料要求や、具体的な使用例について問い合わせがありました。TheIJCもさることながら、この反響には正直驚いております。」というメッセージを頂いたのです。

こちらの記事で「日本をダメにしているのは50歳台の上級管理職サラリーマン達だ!もうこの層には期待しない!」と毒づきましたが(笑)、その方は正しくその50歳台の上級管理職です!早期退場を願いたいのは「あと少しで・・・と、逃げ切りを狙っている上級管理職・役員」なんです。この方の実年齢ではなくビジネスマインド年齢は30歳台か40歳台前半なのでしょう。大事なのは実年齢でなく、ビジネスマインド年齢です。

という訳で、上に書いた今年のアクションの他に、こういう事例をひとつでも、ふたつでも増やしていくような動きをしていきたいと思う次第です。皆様、本年もよろしくお付き合いください。

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