【なぜ中国が高市発言に強烈反発しているのか?】

高市総理のちょっと不用意な発言に中国は過剰に過剰に反応してますねえ。もう既に「世界の真ん中で・・・」は色褪せましたねえ。もう高市氏だけで収集できるフェーズではないでしょうね。

まあ、先日の東伸工業の一ノ瀬社長のお話では、今中国は景気が超低迷しているそうで、国民の関心を敵を外に作って逸らさざるを得ないという側面もあるのでしょう。本件に関してXやら facebookの親高市・反高市の応酬は見ていられないくらい言葉が汚くていやになります。ここではいつもの冷静な溝口さんの記事を引用しておきます。くれぐれも、熱くなって言葉が汚くならないようにしましょう!

【なぜ中国が強烈反発しているのか?・・・存立危機事態法令上の「他国」の解釈論】・・・その③(ここらで括って終わりにしよう)

★本件、その①、その②を書いてきた。…ここらで、当面の「括り」を簡単にしておこう。

<その①:要旨>

高市氏の言う「存立危機事態」は、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ・・・」だが、「密接な関係にある他国」は通常、米国、つまり台湾有事で中国軍が米軍を攻撃した際の、自衛隊による米軍援護を意味する。しかし高市氏が舌足らずだったので、「他国」=台湾、つまり中国が台湾を攻撃した際に、自衛隊が台湾擁護のために戦うことがあり得ると意味しているとの「誤解・懸念」を中国側に生んだ。
https://iamnat.livedoor.blog/archives/52124694.html

<その②:要旨>

それが、米国がトランプになって、台湾防衛のための米軍出動するかどうか分からなくなっている今、米軍が様子見の状況の場合でも日本の自衛隊が台湾擁護で立ち上がる可能性ありと、高市が言ったかのような「誤解・懸念」が、中国サイドで余計にリアルになっている。
https://iamnat.livedoor.blog/archives/52124769.html

★その後の報道を総合すると:

(1)私の言う、存立危機事態の定義で、「日本と密接な関係にある他国が攻撃受けた場合」との「他国」がどこか?問題は、恐らく、北京政府は、当然、日本の存立危機事態の法令条文上、そういう概念があり、「他国」は「米国」が通常だが、もしも「台湾」を意味する場合は重大な意味になると、正確に理解している筈だが、その話しはヤヤコシイ。

(2)そこで、北京政府は、そのように正確に注釈した解説も報道も当然せず、ただただ「高市首相は従来の日本の台湾問題への立場を大きく逸出した危険発言をした」という声明を出しているのだ。
・中国外務省:「戦後の国際秩序を破壊し、『一つの中国』原則に背くもの」と非難し、「中日関係の政治的基礎を根本的に損なうもので極めてたちが悪い」
・中国軍:「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば必ず正面から痛撃を加える」
・・・つまり:

① 高市氏は「台湾有事の際に、米軍が中国に武力攻撃受けて、日本の存立危機事態が認識されれば、集団的自衛権で米軍の援護することもあり得る」とだけ言ったつもり。(注:これも、従来は「あいまい戦略」で、言わないことにしていたのが、高市カラー意識して口が滑った)

② 一方、北京政府は、上記のように「米軍援護」だけなら従来の範囲と分かっていつつも、高市タカ派論もあり、高市発言の500%拡張解釈で、「北京の台湾へのアクション」に対して、米軍援護に限らず、自衛隊が自らの意思で武力介入する意図をもっていると吹聴、中国国民の怒りを煽ったものである。

・・・つまり、つまり、高市首相の舌足らず勇み足発言につき、北京はその真意は実はフルに承知しつつも、舌足らず勇み足発言を、中国流に500%くらい拡大解釈したバージョンを国内的に吹聴し、日本への敵意を盛り上げたものであろう。・・・高市首相は、500%悪用されたわけだ。要は、今の中国の怒涛のごとき「憤激」「怒り」は全くの「made in 北京」なのである。

そして、北京の意図が「高市勇み足発言の500%悪用」であるならば、もう日本が今さら、どう釈明しようが全く無効である。釈明は、対日憎悪を盛り上げたい北京の意図に沿わないからだ。・・・もうここからは、日本側は内心色々心配だろうが、「無視」、「完全無視」で、高市発言がなかったかのようなスタンスでいるしかない。

・・・・中国側が勝手に上げた「のろし」が一旦収まるのに1年位はかかるだろう。「核水」(福島の放出水)問題でも勝手に「核水」と言い出して、それで収まるのに1年ほども時間を要した。

・・・今回のは、”高市失言”にまんまと乗じられたが、本質は「北京創作」の「悪意の日本」物語である。・・・1年、我慢だ。

しかし、高市氏のリスクは、認識されていたとはいえ、Day-1から、こんな形で爆発するとは・・・・

溝口直人氏 プロフィール

溝口 直人 / マネージングディレクター(DRCキャピタル(株)サイトから

1972年、三菱商事(株)に入社。技術関係取引に従事後、ハーバード・ビジネス・スクールに会社派遣留学。卒業後、主に豪州の石炭マーケティング・投資事業に従事、豪州における石炭採掘JV企業における役員を務める。1998年三菱商事の金属資源企画開発部長。1999年に三菱商事証券(株)を取締役副社長として立上げ、プライベートエクイティー・ファンドへの分散投資など機関投資家向け投資商品を企画・開発する。2000年より、三菱商事新機能事業グループの事業戦略室長(兼)CIOとして、金融・IT・コンシューマー・ヘルスケア等事業分野における新規事業の経営戦略や部門内情報システムを統括。2005年にDRCグループに参画。現在、(株)好日山荘、チャンルージャパン(株)取締役。

東京大学工学部卒業。ハーバード大学経営学修士(MBA)

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