OIJC:drupa2024 報告会 事前質問&回答 (3)

OIJC主催の drupa2024報告会にて事前質問を募集したところ、沢山のいい質問が集まりました。これを参加者だけで独占するにはあまりに勿体なく、また回答も広く募集したいのでこちらに公開いたします。回答は今回出張された何人かの専門家の方にも順次お願いしていきます。B2プリンターに関して4件・・・

キヤノンの B2機のインパクトは?
★ Canonが8700枚/時の枚葉IJB2機「varioPRESS iV7」を発表しましたが、事前に 6000枚/時の枚葉 IJB2機を発表していた KonicaMinoltaや KOMORIへの影響はどの程度あるでしょうか?(スピードで上回られたことが今後の開発に影響する気もしますし、フットプリントが小さくインクもUVインクなのであまり気にしていない可能性もあると思っています)

【回答者:大野】
★ キヤノンにはボイジャーの前科がありますからね~(笑)旧オセが開発したという薄膜ピエゾヘッドもまだ姿をちゃんと見た人は居ないし・・・EPSONや富士 DIMATIXが先行している薄膜PIEZOを後から追いかけるわけで、彼らは一定の実績があるのに対し、キヤノンのその実力は未知数ですよね。出来上がりのプリンターの価格やランニングコストも未知数・・・こんな段階で、単にスペックの数字が上回っているからと言って直ちに大騒ぎするものではないでしょう。

★ 少なくとも今回は「まず発表」の段階で、リアクションしようにもやりようがないというところでしょう。ちゃんとローンチ出来たら考えようというところではないでしょうか?・・・と、煽って見たりして(笑)

B2機の今後はより大型に向かうのか?ダウンサイジングしていくのか?
★ 私は商用印刷系の開発担当なのでその分野に特に興味あります。今回B2サイズの枚葉インクジェットがいくつか発表されました(コニカミノルタ、小森、キヤノン)今後インクジェット枚葉機のトレンドとしては、より大きなサイズの枚葉印刷機の方向になるのか、ダウンサイズしてトナー機の領域に近づくのか、またそれ以外の進化になるのかのご意見を伺いたいです。
【回答者:大野】
★ 企業によって分かれているように思われます。B2を発表・上市しているのは(順不同で)富士フイルム・コニカミノルタ・リコー・小森コーポレーション・キヤノン、A3サイズまでのは京セラドキュメントソリューションズ・理想科学。後者が今後さらに B2やそれ以上を目指すかと言えば「ちょっと無理筋」に思えますし、前者がダウンサイジングするかと言えば・・・そこには彼らの電子写真製品との社内バッティングがありますからね

★ B2を持っている企業は、その先にぼんやりと B1サイズを見ているように思います。パッケージ(紙器)の世界は面取りの関係で B2より B1が有利とされるからです。一方 A3までのプリンターを持っているところは、そこが一応のゴールではないでしょうか?A3と B2の紙送り技術の間にはかなりのジャンプがあります(キヤノンは B3を持ってはいますが・・・)

【回答者:中尾】
★ B2(以上)で何を印刷し、A3(以下)で何を印刷したいかに依るでしょう。ブックを含めたドキュメント系印刷はSRA3があれば十分。B2のメリットはもちろん大サイズが必要とされるアプリ以外に生産性のアップがあるが、水性インクのB2のインクジェットプリンターはちょっと大きすぎて、そこまでやって得る生産性アップはコスパがどうよという感じがします。

★ B2サイズのオフセット枚葉印刷機の置き換えをバリアブルではなくショートランで行う場合、既存の加工機がそのまま使用できるのはメリット。印刷会社は、オフセットと同じ枚葉印刷方式であるため移行がマインド的にもやり易い面もあるのかもしれません。

B2プリンターのどこがメリットなのかわからんぞ?
★ B2機で成功している国内外の会社は、どのような価値を見出し活用できているのか?POD機と比較して、面付しても紙の効率は良化するわけでもなく、後加工ソリューションがないなど、イマイチ使い勝手を見いだせない

【回答者:大野】
★ これは鋭い指摘ですね!B2機を製品化しているメーカーからの回答を待ちたいところです。ただ、ラクスルやプリントパックのように「ネットで注文を受けて、結果としてかなりの量を集める業態」と、その他の業態では考え方・着目点は異なると思いますが・・・
【回答者:中尾】
B2(以上)で何を印刷し、A3(以下)で何を印刷したいかに依るでしょう。ブックを含めたドキュメント系印刷は SRA3があれば十分ではないか。B2のメリットはもちろん大サイズが必要とされるアプリ以外に生産性のアップがあるが、水性インクの B2のインクジェットプリンターは全体がちょっと大きすぎて、そこまでやって得る生産性アップはコスパがどうよという感じがします。B2サイズのオフセット枚葉印刷機の置き換えをバリアブルではなくショートランで行う場合、既存の加工機がそのまま使用できるのはメリット。印刷会社は、オフセットと同じ枚葉印刷方式であるため移行がマインド的にもやり易い面もあるのかもしれません。
LANDAについて

★ LandaがS10からS11で新しいインク乾燥システムによって生産性を倍にしたのですが、その具体的な改良点をご存知でしょうか。展示員に聞いても、詳しい部分が聞き出せなかったです。(個人的には今回初めて生のベニーランダを見て、彼のプレゼンテーションを聞けたのはエンジニアとして嬉しかったです。)

【回答者:中尾】
★ 私は2012年以来、Landaのプレゼンを見ていません。あまり興味が湧かないのです。今年もLandaで一番良かったのは・・プレゼンだった・・と聞きました(笑)。あの方式自体は素晴らしいと思いますが、乾きにくいことが宿命のインク組成とベルト上乾燥によるベルト劣化と残りかすの問題は解決されたのでしょうか?だいぶ前に実際のLandaユーザー様も訪問したことがありますが(当時はベータ)、訪問を事前通知していたにも関わらず、今日はメンテの日、とLandaスタッフに警戒され逃げられた経験があります。

★ 実機も見ましたが、現場で改造を繰り返し、一品料理を現場で行なっているようなプリンターはこれからも安定しないでしょう、と言うのが私の超辛口のLanda評です。今はだいぶ進化したのでしょうか?してたらごめんなさい。

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