富士フイルム DIMATIX:SambaG5Lプリントヘッドを発売

富士フイルム Dimatixは、Sambaプリントヘッドのシリーズに新しい Samba G5Lを追加したことを発表しました。これは、既存の G3Lのバリエーションであり、シングルパス印刷を目的としていますが、富士フイルムは 2つのヘッドのそれぞれで異なるアプリケーションをターゲットにすることを計画しています。

The Samba G5L has a larger 3.5pl native drop size and is targeted at single pass corrugated packaging and textile applications.
Samba G5Lは、3.5plとネイティブドロップサイズが大きく、シングルパス段ボールおよびテキスタイルアプリケーションを対象としています。

主な違いは、ネイティブドロップサイズが G3Lの 2.4plから G5Lの 3.5plに増加したことです。G3Lは最大 10plのドロップを生成できますが、G5Lは最大 13plのドロップを管理できます。これにより、G5Lの流量は、G3Lの 360ng-kHzから最大 450nm-kHzになります。富士フイルムは、より大きな液滴サイズが可能にするより高い流量に基づいて、G3Lよりも G5Lの生産性が 25%高いと主張しています。この大きなドロップサイズは、印刷中のエラーに対するフォールトトレランスが向上することも意味し、印刷速度が向上します。

ドロップサイズが大きいほど、スタンドオフ距離も長くなり、G5Lでは最大 4mmになりますが、G3Lではスタンドオフは最大 2mmです。 Fujifilm Dimatixの Sambaヘッドのプロダクトマネージャーである David Grose氏は、次のように述べています。「スタンドオフが高いほど、素材に接触する可能性が低くなり、稼働時間が向上します。」ただし、シングルパスプリンタの基板またはスキャンデバイスのヘッドキャリッジの動きに加えて、絶え間ない噴射によって大量の乱気流が発生するため、通常、インクジェットではノズルを基板に近づけるのが最適です。インク滴を正しい場所に正確に配置するのは困難です。エアアシスト機能(均一な気流を作り出すジェットのカーテン)を追加することでスタンドオフ距離を伸ばすことができますが、これによりシステム全体に余分なコストと複雑さが加わります。

Grose氏が説明するように、気流はまた、不快な木目調の効果をもたらす可能性があります「”印字ヘッドの下を流れる気流を見てみると、非常に高いスタンドオフがあったり、ノズルが密集していたりすると、液滴が基材上に形成されて気流に沿って流れ、木目のように見え、これは好ましくないことがわかりました。そのため、このような影響を最小限に抑えるようにプリントヘッドを設計しました。」(大野註:本来は均一であるべき画像パターンが気流で液滴の直進性が不規則に揺らぎ、結果としてメディアの上に『木目調』や『砂漠の風紋』のような不規則なパターンを現出させることがあります。それを指していると思われます9

富士フイルムは、主に G3Lを商業印刷、UVラベル、フレキシブル包装、PCB製造などの市場に適していると考えています。新しいプリントヘッドは、富士フイルムが新しい市場に参入するのに役立ちます。Grose氏は次のように述べています。「G5Lは、段ボールおよびテキスタイル市場セグメントに特に適していると考えています。それは、他のアプリケーションを追いかけることができないということではありません。」しかし彼は、これらの市場は、木目調の効果が明らかになる前に、より高いスタンドオフ、より大きなドロップサイズ、より高いレイダウンの必要性を特徴としていると指摘しています。

彼は次のように付け加えています。「段ボールには非常に高い印刷速度と高いスタンドオフが必要です。その高いスタンドオフが得られた場合、それをすべて実行するには高い信頼性が必要です。これが段ボール印刷の鍵です。」実際、G5Lは、Screenとその英国子会社であるInca Digitalによって開発された BHS Corrugatedの RSRデジタルプリントユニットですでに使用されています。これは 300mpmで動作し、印刷幅は 2.8mで、段ボール箱のプラントを対象としています。

Grose氏は続けます。「そして、テキスタイルも同様です。1つの違いは、テキスタイル本当に高いカバレッジが必要なことです。レイダウンの実際の指標である 1平方メートルあたりのグラム数と、基板上に降りる必要のあるインクの量を見ると、段ボールの場合、おそらく 1平方メートルあたり 7〜10グラムになりますが、テキスタイルはおそらく13〜15グラムなので、テキスタイルにはかなり高いカバレッジが必要だというわけです。そのため、G5Lが優れており、加えて高いスタンドオフもあります。」

Groseは、これらは 1200 x 1200 dpiのプリントヘッドですが、1200 x 600dpiなどのさまざまなモデルで実行できるため、同じ程度のカバレッジで最大 300mpmのはるかに高速な印刷速度が得られると指摘しています。

Screen showed off this printbar, developed for BHS Corrugators, at Drupa 2016.
スクリーンは、Drupa 2016で、BHS Corrugated用に開発された Sambaプリントヘッドを備えたこのプリントバーを披露しました。

G5Lは、水性および溶剤性の液体を扱えますが、富士フイルムは UVインクでの使用を推奨していません。Grose氏は次のように説明しています。「インクに関しては互換性がないわけではありません。設計関係で、G3Lは実際には UVインクを使用した G5Lよりも優れています。したがって、ニーズに応じて UV付きの G5Lを使用することもできますが、ほとんどの場合、G3Lがそれよりも優れていることがわかると思いますのでお勧めしない次第です。」各ヘッドが受け入れる粘度範囲にはわずかな違いがあり、G3Lの場合は 4〜8 cP、G5Lの場合は 5〜9cPです。Grose氏は次のように述べています。「これは一般に、通路とノズルが大きくなるにつれて、粘度が少し高くなりがちという傾向に沿ったものです。」

それ以外は、新しい G5Lは既存の G3Lのすべての特性を共有したいます。Sambaヘッドはすべて、MEMsスパッタ PZTと組み合わせたシリコン MEMsノズルプレートを使用しています。両方のヘッドには 2048個のノズルがあり、印刷幅は 43mm、解像度は 1200 dpi、出射周波数は100kHzです。

富士フイルムの Versadrop機能を使用して、複数のドロップサイズを作成します。Grose氏は次のように述べています。「ここで、アプリケーションに必要なドロップサイズを調節できます。つまり、グレースケールだけではありません。当社のプリントヘッドはオープンアーキテクチャであるため、お客様は必要となる可能性のある正確な液滴サイズと位置精度の波形を開発できます。そのため、1つのドロップサイズに固定していません。」異なる液滴サイズは、メニスカスで液滴をマージすることによって形成されます。Grose氏は次のように付け加えています。「一部の競合他社では、最後のドロップが最初のドロップに追いつき、その後、飛行中に合流します。私たちは、出射された直後に最終液滴の形を形成するほうを選択します。」

Sambaヘッドは、富士フイルムの Redijetインク再循環も使用します。これは、迅速なプライミングに役立ち、ノズルでのインク乾燥のリスクを回避し、通常、必要なメンテナンスの量を減らすのに役立ちます。

サンバヘッドは 60℃までの温度で使用できます。Grose氏は次のように説明しています。「Sambaヘッド内にはヒーターがありません。お客様がインク循環を通じてヘッドを加熱するのを支援します。ヘッド内には非常に洗練された循環ルートがあり、必要な温度を得るための熱伝達を提供します。シングルパスの場合、これは非常にうまく機能すると考えており、それがお客様からのフィードバックでもあります。ヘッドには、温度制御を支援するサーミスタと温度センサーがあります。」

Sambaデザインのもう 1つの特徴は、プリントヘッドを直接隣接してスロットに入れて、非常にコンパクトなプリントバーを作成できることです。簡単な組み立てと現場での交換に蟻継ぎ(devotail:鳩尾型のほぞを用いて架材を接合すること)ブラケットを使用し、インラインステッチ用の平行四辺形デザインを備えています。

G5Lは現在出荷中です。G3Lと G5Lの価格に違いはありません。全体的なアーキテクチャは同じであるため、どのタイプが特定のアプリケーションに最も適しているかが問題になります。Samba G5Lやその他のプリントヘッドの詳細については、fujifilm.comをご覧ください。

原文はこちら

関連記事

ページ上部へ戻る