企業紹介(海外):KNF ダイヤフラムポンプのメーカー

KNF社とは、本社所在地・発祥の地は南ドイツのフライブルグ、現在はスイスや日本を初め世界中に関連会社を持つ精密「ダイヤフラム」ポンプのメーカーです。

KNFインクジェットプリンター向けポンプのプレゼンはここからダウンロードいただけます

因みにKNFとは Kurt Neuberger Freiburg (クルト・ノイベルガー・フライブルグ)の略で、創業者の名前と創業の地名の頭文字です。戦後の創業ですが、早期の段階で Neuberger氏は事業をBecker家に売却し、現在もオーナーはBecker家ですが、社名を変更しないのは実の創業者に対するリスペクトなのでしょう。非上場ですが、売上高規模は約200百万ユーロ(130円/ユーロとして約260億円)。ガスポンプと液体ポンプの両方を手掛けていますが、構造は一貫して「ダイヤフラムポンプ」に拘っています。(後述)

液体ポンプはスイスのルツェルン郊外の風光明媚な拠点で開発・生産が行われていますが、精密機械部品はスイス!という我々の印象に違わない、きちんとした工場です。元々、人工透析機器や内視鏡洗浄装置など高度な送液精度と薬液耐性が要求される医療用機器分野に強みを持っていますが、近年は産業用インクジェットの市場拡大・用途拡大にリンクしてそちらも大きな柱に育ってきています。

実際、ヨーロッパの産業用インクジェット装置のハイエンド領域ではデファクト部品、シェアは限りなく100%に近いレベルにありますシェアが限りなく100%に近く、デファクト部品化しているということは、産業用インクジェット業界のトレンドを完璧に把握できているということで、考えてみれば凄いことです!私はIJヘッドを扱っていましたが、どのヘッドメーカーも未だこういうポジションを獲得できてはいません。

送液ポンプには大きく分けて2種類あり、一つはペリスタリックポンプ (peristalic pump:通称チューブポンプ。以降、チューブポンプとします)、もう一つはダイヤフラムポンプ (diaphragm pump)で、KNFは一貫して後者の技術を採用しています。

【チューブポンプの構造・動作原理】

チューブポンプの利点としては、構造が比較的簡単で、コストも安いことで、日本では広く認知・採用されています。これは日本の産業用インクジェットがEPSONや、そのヘッドを採用した比較的安価なワイドフォーマットプリンタを軸に発展してきており、ワイドフォーマット以外に用途が広がる際にも、その技術がそのまま受け継がれたという事情があるようです。

欠点は、アニメーションのように「チューブをしごく」ために長期にわたる使用では信頼性に不安が残ることとされています。この部分が破壊されると、インク漏れが起こり機器全体にダメージが広がる懸念があります。

【ダイヤフラムポンプの構造・動作原理】

一方、スクリーン印刷装置やグラビア印刷装置などの置き換えを目指して発展したヨーロッパの産業用インクジェット機器は、構想設計段階から「ロバストな生産機」として位置付けられており、ほんの一部の例外を除いてはチューブポンプが採用されるケースは無く、ダイヤフラムポンプがデファクトとなっています。生産機はかなり長期間にわたって使用されるものであり、消耗部品以外の部品は、装置の寿命(マシンライフ)にわたって安定的に稼働することが求められるからです。

Mr.Michael Davies, Chief Marketing Officer of KNF

2017年、KNF社は2度にわたり日本のインクジェット機器開発メーカー群を訪問し、デファクト部品メーカーとして把握しているヨーロッパの市場トレンドや、ダイヤフラムポンプの利点の紹介を行い好評を博しましが、2018年も継続して訪問を行うとのことです。

(この項、続く)

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