- 2018-2-14
- Nessan Cleary 記事紹介
ゼロックスの最大株主であるカール・アイカーン氏は、Xeroxの第3大株主であるダーウィン・デーソン氏と共に、極めてオープンな公開書簡を書き、仲間の株主達に、富士フイルムがゼロックスをテイクオーバーしすことを阻止するように促しました。書簡に曰く「富士フイルムにこの会社を我々から盗み出させてはならない。」
Xeroxはこのリアルト900を含む数多くのプリンタを販売している
基本的にアイカーン氏は、富士フイルムの買収は「Xeroxを劇的に過小評価している」と主張しており、特に富士フイルムが実際に現金を出さないというアイデアに反対しています。
この取引には、富士フイルムに特に有利になるようなビザンチン構造(■大野註:複雑な構造)があります。アメリカン・プリンター(調査・出版会社)のアンディ&ジュリア・プラタ(後註参照)は、この取引の真相を探るための、いくつかの素晴らしい仕事をしました。それによると、基本的に富士フイルムは富士ゼロックスの株式持ち分をゼロックスに売却し、殆ど理論の上だけのこの収益を使ってゼロックスの50.1%を買収します。取引が終了すると、元の富士ゼロックスはゼロックスの中に戻り、ゼロックス全体が富士ゼロックスと名前が変更されます。富士フイルムの会長兼最高経営責任者(CEO)の小森重高は、このおかげで富士フイルムは一銭もを使わずにゼロックスを買収することができると主張しました。
アイカーン氏は、ゼロックスの株主達はゼロックスの支配権を失い「富士フイルムの子会社の受動的少数株主」となってしまうと指摘しています。代わりに、アイカーン氏の臨むオプションは。ゼロックスを長年にわたる富士ゼロックスの取り組みから撤退させ、ハイエンド大企業市場での強みを梃にソフトウェア、セキュリティ及びサービスに集中し、そして中小規模企業への販売チャネルに再び照準を合わせるというものです。彼はまた、ゼロックスの運営体制の抜本的見直しを行い、コスト構造の改革と会社の知的財産に収益を生ませることを通じて利益を創出することを提案しています。
アイカーン氏はゼロックスのジェフ・ジェイコブソンの経営のファンではなく、ゼロックスのパフォーマンス十分ではないと長い間不満を言ってきたことは間違いありません。 これに先立つ 2018年1月18日付の書簡では「現在の経営陣と保守的なの取締役達では、富士との主要取引を交渉することなどできない。さらに、このチームがXゼロックスを経営するどころか、ゼロックスと富士という、より大きなコンビネーションの経営を行う能力があるとは思えない。」と述べています。
当然、ゼロックスはこれにかなり怒って答え、アイカーン氏の指摘のすべての点を拒否しています。ゼロックスは次のように述べています:「この取引の基本的な推進要因は、ゼロックスと富士ゼロックスを組み合わせることで、競争優位性が大幅に強化された企業が創出され、業界をリードする規模と世界へのアクセスの利点を、それにより初めて実現できるということです。」
明らかに、この取引は、富士フイルムとゼロックスが望むほど円滑に進むとは思えません。アイカーン氏はいくつかのよいことを指摘しています。ゼロックスの本来のパフォーマンスを出せておらず、富士ゼロックスの会計スキャンダルは、皆に一旦立ち止まってよく考えるという理由を与えることになるでしょう。一方で、ゼロックスが大幅な構造改革なしに、運命を好転させることは難しく、アイカーン氏はそれが現在の取締役会では起こりそうもないと確信していることは間違いありません。
【■大野註】
オリジナル記事のトピックスに「LinkedIn」について書きました。その記事はこちらから
上記の記事にある「アメリカン・プリンター(調査・出版会社)のアンディ&ジュリア・プラタ」とは誰か?まずググってみました。
すると関連画像の下にいきなり「LinkedIn」の Andy Plata 氏のプロファイルへのリンクがトップでヒットします。そこでこれをクリックしてLinkedInにジャンプします。
すると OutputLinks Communications Group の Co-CEO(おそらく奥さんの Julia がもう一人の Co-CEO)であり、大野と129人の共通のLinkedIn繋がりがいることが分かります。American Printer というのは、この OutputLinks Communications Group が保有するメディアの一つでしょう。更にこの画面をスクロールしていくと…
少し下に「 Andy’s activity 」というコーナーがあり、今回の富士フイルムとゼロックスのディールに関する記事をいくつか投稿していることがわかります。そのうちの「NO」とあるリンクをクリックすると…
ここには、上記文中にある「アイカーン氏の公開書簡」、「ダーウィン・デーソン氏の書簡と訴状(彼は今回のディールを訴えた)」及び「アンディ氏の(本件に関する)見解」へのリンクが示されています。ここで説明した手順で、是非皆さんにも実際にやって頂きたいと思いますが、LinkedInが「facebookのビジネス版」を超えて「情報の宝庫」であることがお分かりになるでしょう。海外では、実務層からトップまで、こういう情報に日々リアルタイムで接しているのです。
とはいえ時短のために、上記3件へのリンクを張っておきます。
アンディ氏の(本件に関する)見解
アイカーン氏の公開書簡
ダーウィン・デーソン氏の書簡と訴状(彼は今回のディールを訴えた)