有限責任:会社法の話ではありません(2)

有限責任:会社法の話ではありません(1)からの続きです

「有限責任」って言葉があります。会社法の話ではなく、会社組織の各部門やその下の小単位の各マネージャーが「自分の責任をできるだけ内輪に限定して、そこ「だけ」を全うしていればいい。責められるいわれはない」という「有限責任マージャ―」が蔓延っているという話をしました。そして、その究極の原因は社長ではないか?

・・・これを意識してやっている上位職・役員ってほとんど見当たりませんね~!言葉は巧みだけど、結局は「自分がやります」って言っていない。自分(自分の部門)にお鉢が回ってこないように立ち回る・・・それって、究極は社長の責任です。社長は最後の砦ではなく、最初にミッションを発信するべき人です。会社は結局社長次第です!・・・と書きました

これって、民間会社に限った話ではありません。お役所や政府省庁、学校や団体・・・あらゆるところで本質的には同じことが起こっています。

政府のコロナ対応・・・コロナなんて前例が無かったパンデミックで、従来の仕事のやり方では対処できるわけがありません。だからこそ、守備責任範囲の隙間に「コロナ担当大臣」「ワクチン接種担当大臣」を置いたのに・・・機能しているように見えません。

「五輪担当大臣」のオシゴトはもっと見えませんが(笑)

イレギュラーな案件といえば、その最たるものがアフガニスタンからの邦人とその協力者の救出作戦です。これに関しては、日本ではどこまでちゃんと報道されているのかさえ怪しく、また憲法・自衛隊法の縛りなどに結び付ける方々もおられますので、軽々にコメント出来るものでもないとは思いますが・・・

★ 自衛隊機がカブールではなくパキスタンに待機しているときに安倍防衛大臣が「自衛隊員の安全は確保されています」というコメント・・・おいおい、今回のミッションは現地の日本人と協力者の安全を確保しに行くのではなかったか?防衛大臣が責任を持つのは防衛省傘下の人(自衛隊員)ということ・・・有限責任ですね

★ 輸送機はカブール空港で待つだけで、日本人や協力者は自力・自己責任で空港まで来るように・・・それを支援するのは外務省の責任、防衛省ではない・・・有限責任と、組織の責任の狭間!その外務省傘下の大使はずっと前にカブールを脱出しており、残ったのは(おそらく)二等書記官とか現地採用の日本人・・・

★ 大使館の現地人職員22人が「自分たちも連れて行って欲しい」と嘆願書を書いた。が、残った日本人職員は「自分には決める権限がない」と東京に問い合わせの打電・・・東京の外務省本省からはバスの期限までに返信は無かった。そもそも外務大臣や、その上の首相からは「何人でもいいから協力者で、現地に残すとタリバンに狙われそうな現地人は何人でもいいから連れてこい!」という、より高いミッションはクリアな言葉で与えられていなかったのか?

★ うがった見方をすれば・・・難民とかを引き受けると面倒だから、出来るだけ連れて来るな!と言ってたのではないか?そこまで酷くなくても、返信をしないということで、実質的にそう言ったのと同じではないのか?

★ 結局、自衛隊機3機+政府専用機を飛ばして、カブールから拾った日本人は1人。それの多い・少ないはさておき、カブールから拾った現地人は14人で、パキスタンに運んだまではいいけど、その後彼らをどうするのか一切発信も報道もない。日本に協力していたアフガン人をパキスタンに置き去り? 一方韓国は370人を韓国まで運び、その殆どがアフガン人・・・この差は何?また、それを殆ど突っ込まないマスコミって何?

・・・結局、露呈したのは各省庁の大臣の「有限責任マネージャー」的な動き(自分の責任範囲はちゃんとやりましたよ)と、全体としてミッションを全うさせるための社長(首相)は仕事をしていないのではないか?という問題・・・寂しい限りです。社長は「一人でも救出出来てよかった」とコメントしていたけれど、500人と想定していた日本人+現地人協力者の救出・脱出というミッションはどうなってしまったのか・・・それって、本気でそれをミッションと思っていたのか・・・

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