- 2025-11-20
- 日記的備忘録
日本人は英語メディアのサイトを見る人は限られており、まして独語メディアを見る人は極少でしょう。私は時々海外メディアをチェックして、日本メディアの取材能力不足と妙な偏りを補正しています。そういう視点では。今回の高市発言と中国の過剰反応についても違ったものが見えてくることがあります。
台湾有事というと日米中台だけが当事者でその範囲でものを考えがちですが、この夏ドイツと中国の関係も相当ヤバくなり、今訪中しているメルツ内閣で副首相兼財務大臣を務めている Klingsbeil氏がいろいろ修復というか関係改善に動いています。
きっかけは外務大臣の Wadephul氏の「ワデフル外相は、東京で岩屋毅外相と会談した後、太平洋地域における中国の拡大志向について:
「中国は、現状を一方的に変え、自国に有利なように国境線を移動することを、多かれ少なかれ露骨に繰り返し威嚇しています」と述べました。ワデフル氏は、世界貿易の「敏感な結節点」におけるあらゆるエスカレーションを警告しました。それは「世界の安全と世界経済に深刻な影響」をもたらすだろうと述べました」
・・・これに北京政府が猛反発し、ドイツとの関係は近年では最悪となったのです。
北京政府は例によって猛反発しましたが、一方でこの問題は「日米中台」だけの問題ではなく、欧州まで連携した広範囲な関心を呼んでいることを認識・確認したということでしょう。迂闊に台湾に軍事侵攻などしたら、今ロシアがウクライナ戦争で制裁を受けている以上の世界的制裁・孤立を招くと判っているハズなのです。
軍事侵攻が禁じ手である限り、残る手段は頼総統や蔡元総統らの台湾独立派を排除してソフトに取り込むしか手は無いわけですね。何十年かかけてそれをやるから、ともかく外野から口や手を出すな!独立派を勇気づけるような発言もするな!・・・これがホンネなのでしょう。
また訪中中の 副首相兼財務大臣 Klingsbeil氏に中国は「要求」をしています。実質的には「お願い」ですが「要求」とするところが中国的ですが(笑):
中国の何立峰副首相は、声明の中で、ドイツ側に求めることを明確に述べました。それは、ドイツ政府が EU に対して、中国との関係改善を強く働きかけるべきであるということです。(大野註:なにを高飛車に(笑))
その背景には、ブリュッセルが「中国製」の鉄鋼や電気自動車に対するダンピング価格から欧州産業を保護しようとしていることがあります。これは北京にとって不都合なことです。なぜなら、中国経済は輸出に依存しているからです。共産主義の指導部は、電気自動車の製造などの経済分野に巨額の投資を行っており、その結果、生産能力は需要を大幅に上回っています。多くの中国メーカーは、生き残るために輸出を行わなければなりません。これは、現時点では、中国の弱みとなっています。
欧州は、貿易紛争において、欧州市場へのアクセスを武器として活用することができます。少なくとも、中国がアジア、アフリカ、南米で十分な他の市場を開拓するまでは、欧州は戦略的に重要な分野において、より自立するための時間的余裕があります。
希土類の安定供給が本当に実現すれば、この訪問は、SPD大臣の魅力攻勢の成功となるでしょう。クリンバイル氏は、中国の約束を信頼しているようです。「中国側は、そのように考えていなければ、そのような発言はしません」。クリンバイル氏は、この発言の真偽が問われることになるでしょう。
日本とすれば親高市・反高市で SNS上で不毛な罵り合いをしたり、ポケットに手を突っ込んで尊大な態度をとる中国の小役人を揶揄したりというレベルの低い児戯に時間を費やすのではなく、世界を見渡してどことどう連携していくかをもっと視野で見渡して実行していくのが肝要かと思います。
ーーー(以下、長くなりますが Tahegsschau.deより)ーーー
外務大臣のアジア訪問、ワデフル氏の発言に対する中国の厳しい批判
2025年8月18日 16:52
ドイツのワデフル外務大臣が、太平洋地域における中国の行動について批判しました。これに対し、北京が反応を示しています。外務省スポークスウーマンは、「対立を煽り、緊張を高めるような行為」を警告しています 。
ヨハン・ワデフル連邦外相(CDU)は、太平洋地域における中国の存在について発言し、北京から激しい批判を受けた。ワデフル外相の太平洋地域における中国の行動に関する発言についてコメントを求められた中国外務省の毛寧報道官は、「対立を煽り、緊張を高める」ことを警告した。
ワデフル氏は日曜日、日本とインドネシアを訪問する前に、台湾海峡、東シナ海、南シナ海における中国の「ますます攻撃的な行動」を非難しました。これはヨーロッパにも影響を与えていると、同大臣は「ここでは、世界的な共存の基本ルールが危機に瀕している」と述べています。
この発言を受けて、北京の外務省スポークスパーソンは、「関係各国が対話と協議を通じて問題を解決することを尊重するよう」呼びかけると述べた。
ワデフル外相、中国の拡大主義を批判
ワデフル外相は、東京で岩屋毅外相と会談した後、太平洋地域における中国の拡大志向について、「中国は、現状を一方的に変え、自国に有利なように国境線を移動することを、多かれ少なかれ露骨に繰り返し威嚇しています」と述べました。
ワデフル氏は、世界貿易の「敏感な結節点」におけるあらゆるエスカレーションを警告しました。それは「世界の安全と世界経済に深刻な影響」をもたらすだろうと述べました。
報道官が「一つの中国」原則に言及
中国外務省報道官は、東シナ海および南シナ海の状況は「概ね安定しており」、台湾問題は「中国の内政問題」であると述べました。同報道官は、「一つの中国」原則が「国際関係の基礎的な規範」であり、国際社会で幅広い支持を得ていることを指摘しました。
中国は、民主的で自治権を持つ台湾を、人民共和国の分離した省とみなしており、必要であれば軍事力によって本土に再統合すべきであると考えています。ここ数年、北京は台湾周辺に中国の戦闘機や軍艦の数を増やし、大規模な軍事演習を何度も実施しています。
さらに、北京は南シナ海のほぼ全域を自国の領土と主張しています。しかし、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシアなど、他のアジア諸国もこの地域の一部に領有権を主張しています。北京は、この地域に人工島を埋め立て、軍事施設を建設することで、領土紛争を助長しています。
中国のウクライナ政策に対する批判も
ワデフル氏は東京で、北京のウクライナ政策についても批判しました。「中国のロシアの戦争機械への支援」がなければ、「ウクライナに対する侵略戦争は不可能」であるとの見解を示しました。中国は、ロシアのウクライナ侵攻を「ロシアの最大の支援物資供給国」であり、ロシアの石油とガスの最大の購入国であるなど、さまざまな形で支援していると、ドイツ外相は述べました。
火曜日、ドイツ外相は大阪で開催中の万博を訪問し、水曜日にはインドネシアへと移動します。




















