Durst社:リコーのプリントヘッドを採用

Durst社は、リコー製のプリントヘッドを使用するために 5,000万ユーロ(約 64億円)の契約を締結しました。Durst社は、すでにアルファ捺染システムや大判プリンター Durst P5シリーズにリコーの Gen5プリントヘッドを採用しています。

The Durst Crystal R&D centre at the Lienz factory in Austria.
オーストリアの Lienz工場にある Durst Crystalの研究開発センター

しかし、Durst社が特定の種類のプリントヘッドを採用することを発表するのは、極めて異例のことです。Durst社は、最先端の研究開発センターを持っており、そこでプリントヘッドのテストや改造を行っているのです。過去には、富士フイルム Dimatixなどのサプライヤーからアクチュエーターやその他のコンポーネントを購入し、自社でアレイを組み立てていたこともあります。

実際、リコーのプレスリリースには、Durst社の大判プリンター「P5」への取り組みが具体的に書かれています。しかし、P5シリーズの発売当初、Durst社の最高技術責任者であった Peter Weingartner氏は、富士フイルムと密接に協力して新しい MEMsベースのプリントヘッドを開発し、Sambaプリントヘッドの最新版(当時)のノズルプレートなどの一部の部品を使用したと話してくれました。SPC130段ボール印刷機のために、Durstは Dimatix Qクラスのプリントヘッドに独自の再循環システムを追加しました。

そのため、Durst社は現在、リコーとも同様に緊密な協力関係を築いており、リコーは Durst社の厳しい基準に合うようにヘッドをさらに開発することを望んでいると思われます。このため、知的財産をどちらが所有するのか、また、リコーが他のベンダーに供給するヘッドにどの程度自由に使用できるのか、という疑問が残ります。なお、SPC130では、富士フイルムと共同開発した再循環システムの知的財産は Durst社が保有しています。

リコーのインダストリアルプリント事業のグローバルジェネラルマネージャーである Christian Compera氏は、「このパートナーシップにより、私たちのプリントヘッドをより実環境に近い要件で開発することができるようになります。プリントヘッドの知的財産、材料、プリントヘッド製造技術、インクの調合などには、しばしば高いレベルの保護が必要です。リコーと Durstの開発チームが一緒になることで、印刷システム全体を継続的に改善し、最終的にお客様の利益につなげるという目標を共有することができます。」

Durst社は、Tau RSCラベル印刷機と VariJetプリンターで Dimatixヘッドを使い続けており、Durst社のインク・流体担当上級副社長の Stefan Kappaun氏が私にこう語ってくれました。「Durstは、利用可能なプリントヘッド技術を継続的に選別しています。Durstは、利用可能なプリントヘッド技術を継続的にスクリーニングしています。プリントヘッドの選択は、最終的にはアプリケーションへの適合性と技術的性能によって決定されます。」

つまり、今回のリコーとの提携は、Durst社がプリンターのヘッドを選択する際の選択肢を増やし、1社のヘッドサプライヤーに依存しないようにしただけのように見えます。

Durst Groupの CEO兼共同経営者であるクリストフ・ガンパーは、次のように締めくくりました。「今回の契約は、リコーとの協力関係を再確認し、継続するものです。リコーとのパートナーシップを拡大することで、プリントヘッドとインク、基材との完璧な相互作用を実現し、新しい印刷システムの市場投入までの時間を短縮することができます。これにより、最高の印刷品質と性能を実現するだけでなく、プリンターの寿命を延ばすための信頼性を保証することができます。これにより、お客様は、プリントヘッドのリスク要因を排除した上で、投資判断のための明確な根拠を得ることができます。」

プリンターに関する詳しい情報は durst-group.comから、プリントヘッドに関する情報は industry.ricoh.comからご覧いただけます。

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