ウクライナ:今後のシナリオに関する大野仮説

これは 2月 27日(日曜日)の 21時頃に書いたものです。その後、ドイツのニュースサイトに大変重要な臨時ニュースが流れました。これについては別途追加で書きます。

アメリカがゼレンスキー大統領に安全な国外に脱出して亡命政権を樹立すればどうか?と提案したのを彼は断ってキエフに残るとしたようです。彼は「私は逃げない。最後までここに残って戦う!」としてウクライナ軍や国民を鼓舞し続けています。

ロシア軍は思いのほか強いウクライナ軍の抵抗に辟易しているような報道もありますが、17万人とも言われる戦力を投入してその気になればキエフ陥落は時間の問題だろうし、また長引けばハリコフやオデッサなど他の都市も破壊され(すでにハリコフには侵攻したという現地報道あり)犠牲者は増える一方となります。

ここで思うに、アメリカの脱出提案を断ったということは、彼は英雄として戦死するとハラを括っているのだろうということです。

多分だけど…最後の時間に、国外にいる一番信頼できる人物…ウクライナの国連大使とか駐米大使とか駐EU大使(彼は昨日EU加盟を申請した)とか…に政権を移譲することを世界に宣言する。その上で…戦死する。これで彼は悲劇のヒーローとなり、世界は政権移譲された人物が正統な後継者として支持することになる。

もう既にグティエレス国連事務総長・バイデン米国大統領に・ミシェル EU理事会議長あるいはフォン・デア・ライエン EU委員会委員長にその旨をしたためた「遺言状」を送っているかも知れません。24日に EU加盟を申請したということは EU大使を本命視しているのかもしれません。

ここで自分や国民の命が惜しくて、ノコノコ白旗掲げてロシアと交渉しても、即時に辞任或いは殺害され、ロシアが選ぶ傀儡政権が出来て、それが正統性を持ってしまう。どっちみち、西側の武器供与などは焼石に水と思われ、あと数日の話で、ロシアはルカシェンコみたいなポチを後継政権に据えるんだろうけど、国際的にそいつには正統性が無い!という状況にして戦死する・・・彼はそういうハラを括ったものと思われます。

ゼレンスキーは死を覚悟しているのです。

白旗上げて投降し、そこで一旦停戦合意してロシア軍による爆撃や砲撃を止めさせて、市民や軍人の犠牲者がこれ以上増えるのをしばし止めることはできる。でも、その後に待っているものは何か?

まず、ロシアは「無条件降伏」を条件とする。とすると、ゼレンスキーと閣僚達は「戦争犯罪人」として即座に逮捕・死刑でしょう。ウクライナ軍の幹部もかなりの数が死刑か終身刑となるでしょう。

そして、一般市民達は「ゼレンスキーを支持していたか?イエス・ノー」「今後の(占領)政策に協力するか?イエス・ノー」で選別されて両方にノーなら死刑か終身刑、それ以下は程度に応じて肉体的・精神的奴隷状態に置かれることになるでしょう。不都合な周庭さんを投獄して、多分刑務所の地獄を見せて「次やったらこうなるぜ」と脅迫して黙らせた「中国政府が支配する香港」と同じです。

彼の後にはベラルーシの「ルカシェンコ」みたいなのが送り込まれて来てプーチンの犬となってそういう統治をするのです。あるいは国として存続させず、ロシア中央政府直轄の州にしてしまうかも知れません。

ゼレンスキーにはこうなることが火を見るよりも明らかに見えているので、最後まで「交渉して合意した」としたくはないハズです。どっちみち自分や家族が生き残る道は無い!とハラを括り、ならばその死を少しでも無駄にしないために「交渉はしても、無条件降伏には合意はしない」という道を選び、巨大な悪魔に対して、最後まで国の為に戦った英雄として戦死し、その死後に「ウクライナの応援団としての国連・EU・米国が、プーチンロシアの好き放題にはせさない」・・・プーチンが指名した傀儡政権には正当性はないんだと主張できるようにする道をつけておく・・・

今後、ゼレンスキーが折れる時は・・・長引く抵抗に「早く戦争を終わらせなくては」と焦ったプーチンが大量虐殺兵器を使ったとき、あるいは使うと脅したとき・・・(第二次大戦ではアメリカがこの理由で核爆弾を使いましたね)・・・彼は交渉のテーブルに着くのでしょうが、それでも無条件降伏はしないでしょう。実際にロシアが大量虐殺兵器を使ったとしたら、それはロシアが破滅する時です。そこまでは計算しているでしょう。

日本ではあまり報道されませんが、彼はユダヤ人なのです(米国のブリンケン国務長官もそうです)。プーチンは彼をナチスと呼び「ナチスが東部の親ロシア派を迫害虐殺している。非ナチ化を推進する必要がある。」というプロパガンダを展開しています。彼にとっては笑止千万もいいところで、これにはナチス問題にセンシティブなドイツもイスラエルもプーチンに対し不快感を示しています。

大統領になる前は「お笑い芸人」だったんです。(こちらも参照ください)。そんな彼が、今や自分の命を捨てる覚悟で、歴史に残る戦時大統領に変身しようとしています。涙が出そうです。プーチンが同じく歴史の教科書に、ヒトラーと並んで掲載されることも確実でしょうね。

いずれにせよ、彼の「悪魔のプーチンには絶対に屈しない!屈する時は死ぬ時だ!」という姿勢が世界を動かし、プーチンがあり得ないと高を括っていた「SWIFTからの締め出し」や、慎重だったドイツの紛争当事国への武器供与の方針転換を実現したのです。国のリーダーとして、あるいは会社でもどんな組織でも「あるべきリーダー像」を示したといえるでしょう。

ちなみにドイツは敗戦国で、元々武器輸出は制限されていましたが、20年前の中道左派 SPDと緑の党の所謂「赤緑連立政権」時代に更にそれを強化して「紛争国に武器を輸出しない」という縛りを設けました。今回もその縛りを盾に「ヘルメット 5,000個」を送ることでお茶を濁そうとしましたが、あまりの腰の引けた対応に批判が集中し、結局「現政権 SPD(社会民主党)がかつて引いた従来路線を大幅に転換し、連邦防衛軍(Bundeswehr)の在庫から兵器を供与する」ことになりました。野党(CDU/CSU)も賛成しました。これ・・・ゼレンスキー大統領の献身が無ければ、ここまで動かなかったと思っています。

G7の他国がどういう制裁をするか見極めたうえで日本の対応を決める総務部長、あ、総理大臣(笑)、この忙しい時にまた飛翔体とかいうものを発射した「かまってちゃん北朝鮮」のニュースを防衛省の役人が書いた原稿を棒読みする、前々首相の実弟の防衛大臣・・・の話は書きません。もう情けなくて・・・

 

と、ここまで書いた後、ドイツのニュースサイトに追加の臨時ニュースが2つ流れましたので数時間後に続きを書きます。(一旦寝ます(笑))臨時ニュースは「ゼレンスキー大統領が、ベラルーシのルカシェンコ大統領と電話で話し、ミンスクではなく、ウクライナ・ベラルーシの国境地点でロシアの交渉使節団と会談することに合意した」ということと、その合意のすぐ後に「プーチンが『抑止力を一段上げるように軍に指示した』=『核兵器を使用する準備をしろと指示した』」というニュースです。

これが何を意味するか・・・わかりますよね!続きます。

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