役に立つ動画(5):壁紙の製造工程 デジタル -2-

インクジェットの応用として壁紙も有力な分野として期待されています。今回はインクジェットによる壁紙プリントの中でも高速シングルパス機の事例を紹介します

「インクジェットで壁紙」というと「HP のラテックス機」がまず思い浮かびますが、ここにきてシングルパスの画質や安定性が向上し、既存ロータリースクリーン機やグラビアに匹敵・凌駕する速度になってきています。少なくとも速度的・技術的には既存の生産ラインにアドオン(後付けという意味で「レトロ・フィット」とも言います)することが可能になりつつあります。

この市場にアプローチするのは二通りの勢力があります。一つは既存の(壁紙)生産設備のメーカーが、インクジェット技術を取得して既存顧客=壁紙製造業者にオファーするルート。もう一つはインクジェットのインテグレータが(既存の生産設備のメーカーとは無関係に)壁紙製造業者にオファーするルート。

欧州では、既存の壁紙生産設備のメーカーは SPG(オランダ)・OLBRICH(ドイツ)・Emerson&Renwick(イギリス)の3社が有力で、その各々がなんらかのインクジェット技術を取得して、インクジェットのシングルパス壁紙プリント設備を開発しています。一部は顧客にもデモしています。

【SPG (オランダ)の事例】この画像はテキスタイル用途ですが、これを改造して壁紙用途を開発しています

【 Industrial Inkjet Ltd (英国ケンブリッジ)のシングルパスユニットの事例】インクジェットのインテグレータです

既存の壁紙製造業者は、当然のことながら、グラビアやロータリースクリーンを含む全工程設備を保有しており、壁紙の場合は 1.2m 幅で生産して、最後に半分にスリットして 60cm 幅にするという製造手法を前提に、設備が組まれています。従ってインクジェットにも 1.2m 幅のプリントエンジンを求めてきます。これを提供するのが最初のハードル。

次に「プリント部分をデジタル化して、版やその管理コストを無くす」というのがそもそもの動機ではあるものの、それだけではインクコストのアップ分を吸収できないので、なんらかそれを超えるメリットを提供する(あるいは気づかせてあげる)ことが必要になります・・・これが第二の、否、これこそが第一のハードルと言えるでしょう。

これを考えるにあたっては「何故セラミック業界はわずか数年で、インクジェットが入るべきラインには全て入ってしまい、あっという間に飽和したのか?」、「逆にテキスタイル業界では、何故20年も経って未だに数パーセントのデジタル比率に留まっているのか?」など、業界比較をしてみることで有力な手がかりが掴めるように思います。私の目には、壁紙は他のどの部門よりも「第二セラミック」になりうる金鉱脈ではないかとと映っています。

壁紙製造業者は膨大な数の版在庫に苦労している。
デジタルはこれを無くすことができるが、それだけで十分だろうか?

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