顔と名前を売るということ

ハードディスクに山ほど溜まったデジカメ画像を掘り起こしていたら、自分的にちょっと懐かしい写真が出てきましたのでご紹介します。この左側の顔写真、誰だかご存知ですか?特に、インクジェットのヘッドビジネスに関わっておられる方(関わってこられた方)・・・ご存知でしょうか?富士フイルムの方、ご存知ですか?(笑)

彼は富士フイルム DIMATIX(今は社名が変わっているハズですね。かつては SPECTRAという社名でした)のインクジェットヘッド営業の重鎮で「ハワード・ボールドウィン Howard Boldwin」という人です。富士フイルムが買収する前にしろ、その後にしろ、私とは競合製品を扱うという、いわばライバルの関係にあったわけです。が、私は「顔も知らない相手と戦う」というのがシックリこない質でして(笑)・・・業界のコンファレンスなどの懇親会(ネットワーキングレセプション)でも、ヘッド業界のライバルというか、同業というか、インクジェットを広めるという意味では「同志」と積極的に親交を結んだものです。

皆さん、嫌じゃないですか?ネットワーキングで海外のヘッド営業マン達は皆既に顔見知り同士で、お互い繋がっておりグラス片手に談笑している。そんな中で日本人だけが仲間に入れていない・・・言いようのない疎外感。こんな時、日本人同士でつるんでパーティを抜け出し、日本メシ屋に逃避するというのが多いんですが、私は会場に残り、海外の営業マンや技術屋さん達と二次会・三次会まで付き合って友達を増やしました。日立工機(現リコー)の Tom Ryan、Joe Ryanや Mark Elsbernd(現エプソン USA)、SPECTRAの Maritin Schoeppler(現富士フイルム)や Mark Torrey、東芝TECを担いでいた Erwin Kempeneers、セイコーの橘正夫氏…そして Howardもそんな中の一人です。

ある時、韓国のプリンターメーカーの DGI社が、ラスベガスの展示会の初日の夕刻にパーティを開き、サプライヤーやディーラーが招待されてのレセプション・・・ビールやワインをサーブしてくれる場所に列ができますね。そこで彼と業界の四方山話や世間話をしていて、やがて順番が回ってきた時、彼はポケットからドル札を出して、お酒をサーブしてくれるホテルスタッフにチップをあげたんです。え?こういうのって招待だからタダ酒でしょ?チップって要るの?

ハワードに訊いてみたら、「オオノ、こういう時はチップをあげるもんなんだ。そうすると、つぎにまた列に並んで順番が来た時に、彼は顔を憶えていてくれる、それっていいだろ?」「おお、そういうものなんか!」「オレはこれを父親から教わったんだ」・・・彼のルーツはアイルランドで、彼が父親から教わったというそのマナーを、それ以来、私も海外のレセプションの場では必ず実践するようにしています。そんなことを教えてくれた彼は、アニキみたいな存在でずっと尊敬しているのです。

2009年の夏、当時は上海の大判プリンター展示会は、7月に浦東の「新国際博覧中心」で開催されていて、そこで業界の有力紙「噴絵&打印」が無料で配布されていました。その表紙にハワードの顔がデカデカと!あっ、やられた!こりゃいかん、リベンジだ!(笑)ここで「スルー」してはいかんのです!

で、あの手この手、いろんなルートで「次回の東莞の展示会で配布される同じ雑誌の表紙に俺の顔写真を載せろ!」と(笑)通常の月ではいかんのです。次の大きな展示会で、ハワードがやって来そうなのは、翌年の旧正月明けに開催される東莞の展示会・・・そこに合わせて、満を持して載せてもらったのが右側の雑誌です。

展示会初日、顧客のブースを一通り回って挨拶した後、向かったのは勿論、富士フイルム DIMATIXのブース。ハワードも待っていたようで「やったな、オオノ!」「うん、ハワードよりちょっとハンサムな写真を載っけてもらったぜ!」なんて冗談を言いながらハグ(笑)

「これから」の皆さんに申し上げます。あなたが扱う製品を有名にしようと思えば、あなたが所属する企業を有名にしようと思えば、まずあなた自身が有名になってください。顔と名前を知られるようになってください。それが「顔が見えない日本企業」から抜け出す第一歩です。ついでに書きますが、日本企業は「折角、業界に繋がりを築き、顔と名前が知られるようになった頃、ローテーションとか称して異動」させることが殆どです。勿体ない!抵抗しましょう(笑)場合によっては競合を含む、他の会社に「異動」しちまいましょう(笑)

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